女性の晩婚化により出産年齢が高齢化すると共に、長寿命化によって親の介護の期間も長引く傾向があります。その結果、介護サービスと育児サービスをやり繰りしながら、子育てと親の介護サービスを同時にしなければならない世帯―ダブルケア負担の世帯―が増えています。さらに兄弟数の減少や親族のネットワークが脆弱化する中で、ダブルケアの負担は、親と近居又は同居している長女に集中する傾向があり、相談する相手もなく、心身ともに燃え尽きてしまうケースも増えています。
仕事と子育ての両立、あるいは仕事と介護の両立が問題とされてきたが、超少子化と高齢化が同時進行する日本のような国では、子育て・介護・仕事の両立問題という、新たな形の「ケアの社会化」が社会問題化し、従来の子育て支援策・高齢者介護政策も見直しを迫られる事態となると考えられますが、現状は行政や民間のサービスも縦割りのものとなっており、ダブルケアラーへの支援はまだまだ十分ではありません。
横浜国立大学の相馬直子教授とブリストル大学の山下順子教授が呼びかけ人になり、晩産化・超少子化・高齢化が同時進行する課題先進都市・横浜において介護と子育てのダブルケアという先鋭的な課題を契機として、脆弱化し、複合的な課題を抱えつつある家族の包括的なケアのあり方を考えることとなりました。
ダブルケアの実態と地域における具体的な支援ニーズを明らかにするために、ダブルケア実態調査2015を実施中です。現在ダブルケア直面中、過去に直面した経験のある方、今後直面しそうな方、未経験の方いずれも、Web調査にご協力ください。
https://qooker.jp/Q/auto/ja/wcare4/part4/
この調査での介護は、愚痴を聞くといった精神的ケアや買い物の代行、ケアマネージャーとの連絡やサービスの調整など、広い意味で世話をする・援助することを含みます。ご回答内容は、統計的に処理され匿名化されます。個人が特定されることは決してありませんのでご安心ください。調査結果は、ダブルケア(育児と介護の同時進行)の研究ホームページや、LOCAL GOOD YOKOHAMAのダブルケア特集ページでも、随時、公表してまいります。
<調査責任者> 横浜国立大学大学院国際科学研究院 准教授 相馬直子・英国ブリストル大学 講師 山下順子
ダブルケアラーが暮らしやすい地域づくりのため、新しい取り組みに挑戦します。
現状では、孤立感を深めた女性たちの負担を軽減するための、社会的な支援策はほとんどありません。このプロジェクトでは、そういったダブルケアラーに寄り添うサポーターを増やし、ダブルケアラーが共感し合える場を少しずつ増やしていくことを目的として、ダブルケアラーに寄り添うサポーターを増やすサポーター研修プログラムと、今現在、ダブルケア当事者の方も、これからダブルケア当事者になりそうな方にも役に立つ情報がつまった、子育てと介護をテーマとしたハンドブック「ダブルケアラーの声を生かしたハッピーケアノート」(仮称)をつくる取り組みに挑戦します。
現在、資金と仲間を集めています。ぜひ、ご参加ください。→https://cf.yokohama.localgood.jp/project/wcare