2016.12.07
11月23日、富士通エフサスみなとみらい Innovation & Future Center(横浜市西区みなとみらい)で、地域経済を活性化するオープンデータの取組について、「連携・共創のあり方」や「人材育成」をキーワードに議論するイベント「オープンデータの利活用とデータサイエンス」が開催されました。
近年、自治体による政策立案や民間企業によるビジネスの創造など、様々な分野でオープンデータが活用されています。そのような中、オープンデータを分析し価値を生み出すデータ活用人材の育成に向け、大学研究機関などアカデミズムに対する期待も高まっています。
そこで、文理にまたがる37の学会から成る特定非営利活動法人横断型基幹科学技術研究団体連合が、横浜の魅力の発信や課題の解決をしていくための仕組みを若者が考えていくプロジェクト「YOKOHAMA YOUTH Ups!2016-2017(以下、YOUTH Ups!)」と連携し、本イベントを開催しました。
現在、様々な自治体がデータのオープン化に取り組んでいます。横浜市は2014年3月に「横浜市オープンデータの推進に関する指針」を作成し、自治体の中でも先駆的にデータのオープン化に取り組んできました。一方、取組を進めていく中で、オープンデータ公開に関する課題も見えてきました。データ公開の狙いの一つであった“新規ビジネス創出の促進”は想定以上に難しかったのです。
そこで、横浜市は現在、データの公開のみならず、活用方法まで踏み込んだ取組を実施しています。その一つが「YOUTH Ups!」です。「YOUTH Ups!」は、若者たちが地域のデータを活用して地域課題を解決するアイデアやアプリを作ることに加え、本プロジェクトを通じて若者がデータを利活用できるスキルを身につける人材育成の側面も備えています。
横浜市立大学の山中氏は、イベントの中で、データから新たな価値を生み出すデータ活用人材に3つの能力が求められると提案しました。1つ目は、統計学や基礎的なアルゴリズムなどを理解し活用する「データサイエンス力」。2つ目は、膨大なデータを適切な形に加工し操作する「データエンジニア力」。3つ目は、物事の背景を理解した上で課題の仮説を立てデータを収集し、課題の解決まで導く「ビジネス力」。「YOUTH Ups!」では、若者が自治体を始めとして民間企業やNPO・市民団体など様々な主体と連携しながら課題解決のアプローチを模索していくことで、これら3つ全ての能力を育んでいきます。
3つの能力を備えたデータ活用人材は、これから多様な領域での活躍が望まれています。データ活用の重要性が認識されるとともに、資本力のある大企業や行政では多くのデータが解析され、活用されてきました。一方で、中小企業やNPOなど小規模組織ではデータの活用が進んでおらず、そのために多くのデータ活用余地が残されています。この流れを受け近年、「YOUTH Ups!」を始めとして、大学と地域の小規模組織が密接に連携したデータ分析のプログラムが実施されるようになりました。データ活用の余地が多く残されているフィールドに役立ちつつも、データ活用人材の育成を図るこのような取組が今後さらに大きな潮流となることが期待されます。
「YOUTH Ups!」では、来年3月に開催予定である最終発表会に向けて、これからもセミナーやワークショップを開催していく予定です。
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