横浜市ことぶき協働スペースでは、「WORKERS – はたらくを問い直す -」と題して、インクルーシブな社会の実現を目指す学びと連携の場づくりの一環としてセミナーシリーズを実施していきます。
今回は、NPO法人ディーセントワーク・ラボ代表の中尾文香さんをお招きし、「ディーセント・ワーク」について学びます。
福祉施設で働く障がいのある人の工賃(給料)は、1カ月約16,000円(厚生労働省発表値)。そして、彼らの職業の選択肢はとても少ない。これを自分たちに置きかえたとき、純粋に「どうにかしたい!」と思い、活動を始めたそうです。
NPO法人ディーセントワーク・ラボは、すべての人のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現を目指し、特にディーセント・ワークの環境が十分に整っていない、障がいのある人の「役割」や「仕事」を、多くのプロの方たちと共につくる活動をしている団体です。
現在、障がいをもつ当事者・家族と、社会との間の隔たりを埋めていくための取り組みとして9月に「トントゥ フェスティバル」を企画して、クラウドファンディングを実施しています。
講演では、ディーセント・ワークを巡る国内外の動向や、同団体の障がい者雇用のサポート事業や調査研究事業を通じて見えてきた、ディーセント・ワークに関する現状と課題などについてお話し頂きます。
後半のクロストークでは、ことぶき協働スペースで働く2人のスタッフも加わり、すべての人のディーセント・ワークの実現を目指して、横浜でどのような取り組みができるか考えます。
<タイムテーブル>
15:00- セミナー
講師:中尾文香 / 特定非営利活動法人ディーセントワーク・ラボ
15:30- クロストーク
司会:小林野渉(LOCAL GOOD YOKOHAMA)
登壇:中尾文香・杉浦裕樹(NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボ)・内藤勇次・鈴木仁(ことぶき協働スペース)
16:15- アフタートーク
<登壇者プロフィール>
〇中尾文香(なかお・あやか)
博士(社会福祉学)。社会福祉士。香川県高松市生まれ。2016年東洋大学大学院福祉社会デザイン研究科博士後期課程修了。研究のテーマは、障がい者就労・雇用、QWL(Quality of Working Life)、ディーセント・ワーク、社会課題とCSV。機器のアクセシビリティ調査、保育関連のコンサル、福祉事業所の就労コンサル等に携わった後、2013年にNPO法人ディーセントワーク・ラボを設立し、福祉施設がつくる小物ブランドequalto(イクォルト)事業を実施。2017年より企業を対象とした障がい者雇用に関するコンサル、社会課題、CSV、SDGsなどに関するコンサルをスタートした。その他、研修や講演など幅広く活動を行っている。厚生労働省「障害者の就労能力等の評価の在り方に関する ワーキンググループ(第1WG)」専門アドバイザー 。著書に『障害者への就労支援のあり方についての研究』(風間書房)などがある。
〇内藤勇次(ないとう・ゆうじ) / ことぶき協働スペース
1958年川崎市生まれ。2年ほど前に横浜駅で記憶をなくした状態で目覚め、脳外科で多発性脳梗塞、精神科で記憶障害の診断を受ける。生活困窮者自立支援法に基づく横浜市生活自立支援施設「はまかぜ」や、生活保護法に基づく更生施設「横浜市中央浩生館」で過ごす。その間、ことぶき協働スペースでボランティア活動を始める。中央浩生館の時に身元が分かり、横浜市ことぶき協働スペーススタッフとなる。寿歴史研究会の事業などを担当。
〇鈴木仁(すずき・じん) / ことぶき協働スペース
1978年生まれ。発達障害の特性があり社会参加につまづき、2次障害としてうつ病などを経験。精神障害者生活支援センターの利用や、ソーシャルフットボールの活動などを経て現在に至る。市民、企業、NPO、行政、大学など立場を超えた様々な人が集まって協働し、地域課題の解決につながる新たなモノやサービスを生み出す場所、都筑リビングラボや、横浜市ことぶき協働スペースのスタッフとして、一人ひとりの特性を存分に活かし、誰もが生き生きと暮らし働ける地域づくりに関わっている。小さなデジタル推進室の事業などを担当。
◎特定非営利活動法人ディーセントワーク・ラボ
【ないものを 新しく 自由に つくる】
●チームをつくり、モノをつくる
福祉施設とプロが最強タッグを組めるようなマッチングを行い、手づくりを中心とした「ここならでは」の商品を企画します。また、商品が出来上がるまで、その後の量産体制のサポートもいたします。
●価値あるモノを いろいろなところで売る
企業と連携しながら、全国の百貨店、コンセプトショップ、インターネット、カタログなどで販売し、販路を広げます。販売に必要なPOPやパンフレット、カタログの作成なども行います。
●外国とつながり、ブランドをつくる
福祉施設は海外にもたくさんあります。共通の目標をもった仲間が国を飛び越えて集える環境と整えます。
【よりよいことを みんなで とことん 考える】
障がいのある人が「どのような状況で働いているのか」、「どうすれば働きがいが得られるのか」、「どうすればお給料があがるのか」などを調査することによって、障がいのある人の働きやすい場所や社会についてみなさんと考えていきます。
【たくさんの人たちと どんどん つながる】
●働きがいのある職場を見つけ、お知らせする
ディーセントワーク・ラボでつくった基準に照らし合わせて、「働きがい」や「働くよろこび」のある職場にはどのような要素があるのかお知らせします。
●広く発信する
障がいのある人について多くの人に知ってもらうために、広く普及啓発活動を行います。また、障がいのある人をはじめ、多くの方と交流できるようなイベントを開催します。
http://decentwork-lab.org/
◆WORKERS:はたらくを問い直す について
ことぶき協働スペースによる「 WORKERS:はたらくを問い直す」サロン。就労、雇用、起業、自立支援などにおける多様な働き方、労動観の変遷について関心が高まっています。パラレル・キャリアやディーセント・ワークなど、労働者の権利、職業選択の自由、自己決定権などを重視し、行動や思考特性に応じた取り組みや学びが求められています。労働法制や社会保障制度の仕組みや、オープンイノベーションの方法論、インクルーシヴな事例を話題として、議論の場をご用意しています。