2016.12.10
2016年のアジア開発銀行の第50回年次総会が横浜開催を記念して12月3日、栄区と神奈川県立地球市民かながわプラザ(横浜市栄区小菅ヶ谷1)の共催により、江戸時代の庶民の暮らしぶりを学び、アジアにつながる栄区区民の3人を招いて、その土地の風土を生かした環境に負荷をかけない暮らしについて語るトークイベント「江戸×アジア文化から学ぶ究極エコライフ」が開催されました。
イベントは、私たちが日常の生活に取り入れることができる「エコ生活」について、約200年前の江戸と、現代アジアの文化、特に衣食住から見えてくる、モノにとらわれない知恵について学ぶことがテーマ。
最初に、ファシリテーターとしてNPO法人未来をつかむスタディーズ「みらスタ」代表の河内智之さんが、江戸時代の簡素な暮らしの実際を知ること、同じアジアの風土に即した暮らしの知恵についてその国の方から話を聞くことを通して「私たちの未来の暮らしをどうしていこうか?ということを考えたい」と、このイベントの意義を参加者に示しました。
次いで、江戸文化の専門家で『図説 世界を驚かせた頭のいい江戸のエコ生活』(青春出版社)などの著作もある菅野俊輔さんが、庶民の暮らしについて軽妙な語り口で講演しました。江戸時代の日の出とともに仕事が始まり、日暮れには仕事を終えて16時には夕飯を食べる江戸の人たちの時間、6畳一間を居間・食堂・寝室として使う町民の暮らしや、食や衣などの豊かさについての話をしました。
後半は、トルオン・ティ・トゥイ・チャンさん(ベトナム出身)、古山季玲さん(台湾出身)、小池メイワティさん(インドネシア出身)の3人が登壇し、日本に住んで感じる、出身国の「環境にやさしい」それぞれの国の衣食住の習慣ついて、「エコ」を切り口に語りました。
「アオザイ」で登場したチャンさん。シルクやサテンでできているこの民族衣装が現在も人気である理由について「薄くて汗を吸う、軽くてしわにならない、手洗いですぐに乾くので、エコなのです」と説明した。また、ヤシでつくった笠については「直射日光や突然の雨を防ぐことができ、ベトナムの気候にぴったり。天然素材なので処分しても環境に負荷はない」ということで、今も多くの人に使われているそうです。
メイワティさんは、赤ちゃん用スリング、荷物の運搬など多様な使い方をされている「カイン・パンジャン(長い布)」を紹介し、菅野さんは「江戸の風呂敷のルーツはもしかしたらそちらかもしれない」とコメントしました。 台湾出身の古山さんは、「医食道源」という考え方が現れている事例として、スイカの種やカボチャの種をおやつがわりに食べること、食べ残しは養豚場に運ばれることを紹介し「食べ物をムダにしない」サイクルが社会に根付いていることを強調しました。
このほか、葉っぱを器がわりに使うベトナム、洗濯板が今も使われている台湾、住居を工夫して暑さを逃しているインドネシアなど、3人のゲストのふるさとの暮らしの工夫と日本に共通する「エコ」な文化が話題となりました。
進行役の河内さんは「簡素で環境調和型の時代が、産業革命から高度経済成長の時代にかけて大量消費・大量廃棄に変化した。けれども今また、持続可能な社会、シェア経済などが重視されている。4人の講師の話からヒントを得て、この後の生活について何か1つでもアクションにつなげてもらいたい」と、参加者に呼びかけていました。
「第50回アジア開発銀行年次総会」は、「ともにひらく、アジアの未来」をコンセプトに2017年5月4日~7日に、アジア各国の財務大臣、中央銀行総裁、金融機関関係者、NGOなどが参加して、パシフィコ横浜などで開催される国際会議です。来年の開催に向けて、横浜市内18区で関連イベントが開催されています。
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