2016.04.26
3月24日~26日に、「元気エネルギーキャンプ2016春」が開催されました。
このキャンプは、福島県の子どもたちを横浜に招いて環境学習やスポーツを楽しんでもらう機会として開催されました。
開催費用はLOCAL GOOD YOKOHAMAによるクラウドファンディングに挑戦し、獲得した資金を元に開催しています。80日間の期間の中で、26名による支援を頂き、370,496 円を集めることができました。集めた費用は、子供たちがキャンプの中で体験するプログラムなどの費用として使用されています。(https://cf.yokohama.localgood.jp/project/kanagawagenkienergy/needs)
プロジェクトの実施背景
このキャンプを実施した背景として、東日本大震災で被災した福島県の現状が関係しています。
仮設住宅での生活や放射線への不安感から子供たちの運動機会は減少しています。また、平成26年度の「学校保健統計調査報告書」(福島県統計課編)では、肥満傾向児の出現率が5〜17歳までの全ての年齢層で全国平均を上回っていることが報告されています。
また、子どもたちにとっての遊び場のひとつである海水浴場は、復興の遅れと原発事故の影響により、2015年でも2ヶ所を除いて閉鎖されたままとなっています。将来地域の復興を担う人材である子供たちが海に触れる経験を経験をしていないことが、長期的な社会課題の一つと考えられています。
また、神奈川県は海に面していながら、平成27年度神奈川県実施の「県民ニーズ調査」における神奈川県の海についての県民のイメージは「交通渋滞している」「人で混雑している」「海が汚い」というマイナスイメージの回答が上位を占めました。海に触れる環境に恵まれているにも関わらず、海に触れる機会を持つことが少ないのではないかと考えられました。
そして、震災前に関東圏で使用する電力の約2割は福島県の発電により支えられていました。”電気”の恩を、スポーツや環境学習を楽しむ”元気”で返すという想いがキャンプの根底を支えるコンセプトです。
この様な背景から横浜の海を通して、子供たちに海に触れる活動や体を動かして遊ぶ機会を設けること、エネルギーや環境のことを学ぶ機会として開催されました。
プロジェクト構成メンバー
このプロジェクトは様々な立場のメンバーが集まった、かながわ元気エネルギー実行委員会により実行されています。
プロジェクトオーナーは「福島ドラゴンボートアカデミー」総監督の緒方大輔さんです。2011年より東日本大震災や原発事故の影響により屋外で遊ぶ機会が制限されている福島の子どもたちを御殿場・東京・横浜などに招待し、学びの機会を提供するキャンプに関わってきました。
プロジェクト構成メンバー/経歴
緒方 大輔<福島ドラゴンボートアカデミー 総監督>
河原 英信<株式会社太陽住建 会長>
梶 雅之<前 守りたい・子ども未来プロジェクト 事務局長>
大宮 雅智<横浜市立大学国際総合科学部2年>
江森克治<株式会社協進印刷 代表取締役>
太田 久士<株式会社横浜ビール 代表取締役社長>
キャンプ当日のメンバー
今回のキャンプには福島県の小学校11名、引率の学生スタッフ13名、かながわ元気エネルギー実行委員会3名が参加しました。学生スタッフはこの日のために応募してくれたメンバーが務めています。それぞれ、教員を目指している、子供と接する経験をしたことがあるなどの想いや経験を持っていました。2泊3日の中で、子どもたちのお兄さん・お姉さん役を担ってくれる存在でもありました。
元気エネルギーキャンプ1日目
1日目には福島県のいわき駅から電車による長旅を経て横浜に到着しました。横浜ではまず最初に横浜銀行アイスアリーナを訪れました。横浜銀行アイスアリーナ(横浜市神奈川区広台太田町1-1)は、屋根を利用した太陽光発電を実施しており、電気のことを子どもたちに学んでほしいという思いから訪れています。
このような電気を学ぶプログラムは、かながわ元気エネルギー実行委員会が横浜銀行アイスアリーナでの太陽光発電が実現したことが背景にあります。
横浜銀行アイスアリーナ屋根による太陽光発電は、株式会社太陽住建(横浜市磯子区上中里町)が管理しています。売電収益は今回のプロジェクト実施にも使用され、会長の河原 英信さんはプロジェクト構成メンバーでもあります。
横浜銀行アイスアリーナでは、インストラクターの指導のもと、スケートを行いました。今回のキャンプの目標でもあるスポーツを通して身体を動かす機会となります。
その後はキャンプ中の宿泊場所である「横浜市野島青少年研修センター」(横浜市中区住吉町4-42-1、以下研修センター)に行き、一休みした後は夕食の時間です。
そこで夕食に「NPO法人横浜ガストロノミ協議会」(横浜市西区みなとみらい、以下横浜ガストロノミ協議会、https://www.facebook.com/yokohamagastronome/)によるカレーを食べました。
横浜ガストロノミ協議会は、横浜市民や横浜を訪れる人々に対して、食を通じての横浜のPRや児童・生徒に対する食育活動を行っています。
カレーライスの起源は、“洋食発祥の地”横浜だという説があることから、現在の横浜で食に関わっている横浜ガストロノミ協議会のシェフに作っていただきました。
今回のキャンプで提供したカレーの食材には様々な背景があります。野菜には、横浜の食材である長ネギ・人参を使用し、福島産のお米を使用しています。
横浜開港当時の日本では玉ねぎが生産されていなかったため、代用品として長ネギを使用したという背景があります。お肉に関しても、開港当時には豚肉・牛肉を食べる食文化がなかったため、食用ガエルを利用していましたが、今回のキャンプでは牛すね肉の粗びき肉と脂の部分を使用しました。
シェフにカレーライスを作っていただく光景を見ながら、みんなで楽しんでカレーを食べ、1日目は終了しました。
元気エネルギーキャンプ2日目
2日目は朝食を済ませ、研修センターを出発して日本丸メモリアルパーク(横浜市西区みなとみらい2-1-1)を訪れました。
「海面から、みなとみらいを見上げよう!」というテーマで、NPO法人横浜シーフレンズ(以下横浜シーフレンズ、http://seafriends.net/)主催のもと、シーカヤック体験を行いました。
シーカヤックは船とパドルを使用して、水上を航行するスポーツです。横浜シーフレンズは、横浜港インナーハーバーでシーカヤック教室や体験会(http://www.nippon-maru.or.jp/memorial-park/seakayak-park.html)を開催しています。
今回のキャンプのテーマでもある、子どもたちに横浜の海に触れてもらうことに繋がります。また、海に面している横浜でありながら、海に触れる機会を持たない横浜市民にとって、横浜港インナーハーバーの遊び方や、遊ぶことが出来る環境だということを知ってもらう機会でもあります。
シーカヤックは初心者であっても、気軽に取り組むことが出来ます。インナーハーバーの帆船日本丸の前から、よこはまコスモワールドまでのコースを辿りました。
インストラクターの指導の下で、ボートの漕ぎ方を学び、初心者の子どもたちも海を楽しむことが出来ました。
午後はかながわ県民センター(神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町2丁目24-2)で「スッぱい電気を作ってみよう!」として、NPO法人かながわアジェンダ推進センター(神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町、以下かながわアジェンダ推進センター、http://www.kccca.jp/)による電気の作り方講座を行いました。
かながわアジェンダ推進センターは、地球温暖化防止の啓発などを神奈川県内で行う団体です。
電気の作り方として学んだ内容は、レモンによる電気づくりです。
レモンに電極や配線を付け、オルゴールを鳴らすことに挑戦しました。子どもたちは未経験ながらもオルゴールづくりに奮闘し、挑戦する中で、手順通りに行ったとしても音が鳴らないこともありました。
そのような時には、学生スタッフやかながわアジェンダ推進センターの方々と相談して、どの様にすればうまく鳴るかを確認していました。
元気エネルギーキャンプ3日目
そして、3日目には「力を合わせて春の風を感じよう!」として、大岡川桜桟橋でEボートとメガSUPに乗艇しました。
講師を務めたのは水辺荘(横浜市中区日ノ出町、http://mizube.so/)の皆さん、横浜の水辺を身近に楽しむことが出来るために活動する人々の集まりです。
Eボートは10人乗りの
大きなゴムボートを、皆の力で漕ぎながら進めるボートです。
メガSUPは巨大なSUP(スタンドアップパドルボード)というボードに立ちパドルで漕ぐ水上スポーツです、最大7名が乗ることが出来ます。
大岡川桜桟橋から大江橋までの風景を川沿いに楽しむことが出来ました。
その後、レストラン「驛の食卓」(神奈川県横浜市中区住吉町6−68−1 横浜関内地所ビル1・2F、http://www.umaya.com/)で昼食を食べました。驛の食卓は株式会社横浜ビール(横浜市中区住吉町)が運営するレストランです。代表取締役社長の太田久士さんは、今回のプロジェクト構成メンバーでもあります。
昼食を食べた後は、ランドマークタワーに登り、展望台から横浜の景色を眺めました。子どもたちは、桜木町から電車に乗って福島県へと帰り、2泊3日のキャンプは終了しました。
プロジェクトオーナーの緒方大輔さんは、今回のキャンプでの子どもたちの様子を、
「初日のスケート体験から、非常に楽しんでいた雰囲気がありました。『海で遊べて楽しい』という部分もありますが、スケート・カヤック・Eボートと、横浜という場所で普段は出来ないスポーツを体験できたことを楽しんでいるように見受けられました。」
と話しています。
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元気エネルギーキャンプ2016春を終えて
元気エネルギーキャンプ2016春は無事、終了しました。LOCAL GOOD YOKOHAMAでクラウドファンディングに挑戦した短期目標としては、「福島の子どもたちが横浜港インナーハーバーで遊ぶキャンプを開催すること」「ホスト役となる横浜市民が、横浜港インナーハーバーの魅力や価値を考える機会を創出すること」でした。
今回のプロジェクトでは無事にキャンプを開催・終了することが出来ました。また、横浜の海や水辺で活動している様々な人々や組織に、福島の子どもたちを迎えるために行動していただきました。
そして、今後は中期目標である「横浜の子どもたちが、横浜港インナーハーバーで遊ぶ機会を創出する」「福島の子どもたちが、地元の海や湖で遊べるようになる機会創出をサポート」するということ、長期目標である「横浜と福島の子どもたちが、海をキーワードに継続的に交流できる機会を創出する」ことに対して、プロジェクトは動き続ける形になります。
元気エネルギーキャンプ2016春を終え、プロジェクトオーナーの緒方大輔さんは
「皆様のご支援・ご協力により、非常に有意義なキャンプとなりました。意外に思われる方も多いかもしれませんが、北国といえど福島県の子どもたちはスケートをする機会があまりありません。
シーカヤックやEボートも含め、『初めて体験することに、勇気を持ってチャレンジする気持ち』をキャンプに参加した仲間と共有できたことが、子どもたちの将来、どこかのタイミングで役立つことを願っています。
神奈川・横浜の地域資源・人的資源を活かしたプログラムを今後も継続していきたいと考えておりますので、引き続きご支援のほど、よろしくお願い致します。」
と語っています。
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元気エネルギーキャンプ2016春 開催協力
[主催] かながわ元気エネルギー実行委員会
[共催] 公益財団法人横浜市体育協会
[後援] 神奈川県、横浜市市民局、横浜銀行、神奈川新聞社、一般社団法人エネルギーから経済を考える 経営者ネットワーク会議
[特別協賛] 株式会社太陽住建
[協賛] Krannich Solar株式会社、かながわ経済新聞合同会社、有限会社エヌバンテック 一般社団法人カワサキノサキ、株式会社コア・エレクトロニックシステム、カノウ塗装 株式会社スカイテック
[協力] NPO法人横浜ガストロノミ協議会、公益財団法人帆船日本丸記念財団、NPO法人横浜シーフレンズ、 NPO法人かながわアジェンダ推進センター、水辺荘、株式会社ピア・フォー、京浜急行電鉄株式会社
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