2015.09.03
不登校やひきこもりなど、生きづらさを抱えて悩んでいる若者の支援を27年前から民間団体として続けてきたK2インターナショナルグループ(横浜市磯子区東町9)が8月22日、神奈川県総合薬事保健センター(横浜市磯子区西町14)で、「K2オープンフェスタ2015 なりゆき祭」2日目を開催しました。
LOCAL GOOD YOKOHAMAのクラウドファンディングによって参加者を招いた「日韓若者フォーラム」が行われ、韓国からの45人を含む175人が参加し、若者支援が日本と韓国の若者自身にとって共通の課題であることが確認され、協力のあり方が話合われました。
第10回目となる「日韓若者フォーラム」は、これまで韓国で行われてきましたが、今回初めて日本で開催されました。
韓国では受験戦争と競争社会の中で疲弊した若者たちのなかで、社会にうまく適合できないニートが160万人を超えた(経済協力開発機構調べ、2015年5月現在)という調査も出ています。
このフォーラムは、日本の若者たちと 「若者支援の分野で日本の後を追う」とされている韓国の若者たちが、解決すべき課題と問題意識を共有し、国の違いを越えて議論していくことで視点を広げ、ともに未来の活動につなげるために企画されました。
冒頭、日韓若者フォーラム企画団メンバーのイ・サンジュンさんが、逃げ場のない韓国の若者たちの現状を伝え、日本の若者との違いを説明しました。
イさんによると、韓国の若者は「学校や家など、周囲の評価が全てになってしまっている」という現状を説明、さらにそのルートから離脱すると無力感・罪悪感にさいなまれる若者の悩みを訴えました。
そのうえで「現状を改善するためには問題となっている一部を変えるのではなく、若者を取り巻く環境全てを変えることが必要です」と主張しました。
その後の基調講演では、日本と韓国の支援団体代表がそれぞれ、若者支援の実践と今後の展開のあり方について発表しました。
日本からはNPO法人「育て上げネット」(東京都立川市)代表の工藤啓さんが、自身の団体で取り組んでいるさまざまな困難により無業となる若者を支えていくことで「若者と社会をつなぐ」取り組みを紹介しました。また、事業としてなりたたせていくための
韓国からは城北区区長のキム・ヨンベさんは、K2のこれまでの実践について評価したうえで「今後は韓国でも、目標のない若者の支援ができる環境を整えていく必要がある」と訴えました。
その後は分科会として、5つのグループに分かれて様々な支援方法について話し合いました。
若者が「まちづくり」の主体となり街を元気にするというテーマでディスカッションしたグループでは、横浜と韓国それぞれの事例が発表されました。
このグループのコーディネーターは、NPO法人「横浜コミュニティデザイン・ラボ」代表の杉浦裕樹さん。発表者は桜井建築工房代表の櫻井淳さん、K2インターナショナルグループ石巻の亀山ゆり子さん、城北文化財団代表のキム・ジョンフィさんです。
横浜の事例を紹介した櫻井さんが取り上げたのは、黄金町エリアにおけるまちの再生プロジェクトでした。大規模な再開発に頼らず、エリアマネジメント手法を駆使し、不法営業していた空き店舗を1軒ずつ着実に用途転換やコンバージョンを行った町全体での取り組みについて説明しました。
韓国のキム・ジョンフィさんが紹介した事例は、地域開発に若者が携わるスタイルの支援事業です。地域開発に取り組む若者たちに住居を貸し出し、その運営を若者自身で行うことで、起業促進や町おこしに対する意欲の促進につながっている点を説明しました。
2つのプロジェクトに共通するのは、行政に頼るのではなく、若者が地域を巻き込むことで活性化している点です。ディスカッションを通じ、参加者は「若者自身が道を切り開く」ことを支援し、そのアクションを地域で支える方向性を確認しました。
そのほかの4グループのテーマと構成は以下の通り。
①テーマ:日韓で「若者政策の提案・支援者育成」について考える。コーディネーター:東洋大学准教授 小島貴子氏、コメンテーター:空間ミンドュルレ代表 キム・ギョンオク氏、ヘルスプロモーション推進センター 岩室伸也医師
②テーマ:若者と社会的企業が果たす可能性について考える。コーディネーター:NPO法人ちゅらゆい代表理事 金城隆一氏、コメンテーター:NPO法人希望の種副理事長 桔川純子氏、事例発表者:空間ミンドュルレ キム・ユラ先生、認定NPO法人侍学園スクオーラ今人理事長 長岡秀貴氏
③テーマ:若者と住まいを考える「生活圏を共にする支援」。コーディネーター:K2インターナショナルグループ 渡辺氏、福島竜氏、コメンテーター:神奈川県立保健福祉大学教授 小林正稔氏、事例発表者:日韓若者フォーラム企画団 イ・サンジュン氏、NPO法人good! 佐藤吉行氏
④当事者セッション テーマ:過去・現在・未来の自分。コーディネーター:NPO法人横浜コミュニティデザインラボ 宮島真希子氏、K2インターナショナルグループ 福島恭子氏、コメンテーター:ハートクリニック横浜院長 柏淳医師、参加者:K2インターナショナル塾生、Jスタッフ、ミンデュルレ生徒さん達)
LOCAL GOOD YOKOHAMAは、まちでコトをつくりたい、人とつながりたい、課題を解決したいと考えている市民のみなさんのICTプラットフォームコミュニティ。みんなが情報やコミュニケーションでつながり、人が集まることで何かがはじまる場をつくり、コミュニティや活動がこれからも続くキッカケをデザインします。まちの課題や問いに対して「自分ごと」として新たな一歩を踏み出し、まちの未来をより良くするアクションを 「LOCAL GOOD」と名づけました。 さまざまな地域課題に向き合う「ローカルグッドプレイヤー」とともに、共に考え、語り、取材をすることは、新たな視点や経験を得る貴重な体験です。取組を知り、現場でつながることは、おたがいの働く、学ぶ、暮らすを変えてゆくためのアイデアやアクションを生むためのイノベーションのヒントになります。地域のプレイヤーが悩み、チャレンジする現場に足を運び、声に耳を傾け、みなさんの得意や関心に併せた役割を見つけてください。自らを知る、変えるチャンスを提供します。誰もが参加して応援できるローカルグッドサポーターが、はじまっています。 https://yokohama.localgood.jp/about/ LOCAL GOOD YOKOHAMA 編集部へのお問い合わせやご意見、取材希望や情報提供はこちらにお願いいたします。 localgood@yokohamalab.jp