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【イベントレポート】東京パラから1年、「パラフォト」ファンのメディアのいま〜取材・活動報告会開催〜

東京パラリンピックから1年。「パラスポーツの発信でつながろう!」と、国際障害者スポーツ写真連絡協議会(以下:パラフォト)が呼びかけ、8月27日、取材・活動報告会「みんなの取材活動を振り返る 〜ファンのメディアのこれからにむけて〜」を開催した。

2021年9月6日、東京パラリンピック閉会式後のパラフォト取材班 写真・中村 Manto 真人

パラフォトは、シドニーパラリンピック(2000年)写真配信をきっかけに、20年以上にわたり、パラリンピック報道にNPOメディアとして取り組んできた。
当初、障害者のスポーツが健常者のスポーツと区別され、スポーツとしての認織がきわめて低いという状況にあった。パラリンピックを現地で観たメンバーは日本での認織のギャップに接し、まず自分たちが知り、知らせようと活動を始めた。

パラスポーツで横浜から世界へ!

今回、パラフォト本部がある横浜のスタジオとオンラインで複数の地域をつなぎ、記者やカメラマンが平昌(2018年)、東京(2021年)、北京(2022年)など直近の東アジアで連続して開催されたパラリンピック取材報告をするほか、新たなユニバーサル・スポーツや、地域での障害のある人もない人も共に楽しむスポーツの現場などから活動紹介を行った。

高校生、スポーツ・アスリート関係者、海外在住のジャーナリストまで約60人が参加し、18の多様な切り口からパラスポーツの魅力を伝えた。

横浜のスタジオで東京パラリンピック、ブラインドサッカーの報告をする中村和彦氏(左)と聞き手の久下真以子記者(右) 写真・田中勝吾

冒頭挨拶では「東京パラリンピックを終えて、いま、招致から10年以上かけて共有されたことがあると思う。今後は多くの人と地域で振り返り、街づくりに活かしていくことが大事。パラリンピック・ムーブメントの地域への浸透を目指す」と今回の集いの趣旨について話した。

昨年、東京大会は感染対策のなか、史上初の無観客で開催され、終わった。競技場は維持費が膨らむが市民利用はなく負のレガシーと非難され、組織委員会役員の汚職など残念な課題が残された。

一方で、24年前の長野大会後とは大きく異なる様子も見られる。

スポーツニュースでパラリンピック種目の国際試合や日本選手権の勝敗が伝えられるようになり、学校でパラスポーツ教育の時間が増え、オリパラ1周年を記念する行事やその報道がある。そして、体験や交流を思い起こす人々によりSNSで写真がシェアされている。
賛否両論を湧き起こした時間は「スポーツとは何か、障害とは何かについて考える機会」になったと言えないだろうか。

スペシャルゲスト、パラ水泳の寺西真人コーチ(右)と聞き手の丸山裕理記者(左) 写真・田中勝吾

少なくとも、障害者のスポーツも健常者のスポーツも「同じスポーツとして変わりない」という認織が広まり、東京後のベースにあることは紛れもない進歩といえるのではないだろうか。その気づきをもたらしたことに感謝して、私たちはこれからも、パラスポーツでつながっていきたい。

今回のミーティングは、そんなパラスポーツファンの集いの一つであった。

カメラマンから送られたフォトムービーでは、撮影されたパラリンピックの競技やセレモニー、ボランティアなどの写真で日々の瞬間が蘇った。

北海道旭川からは、冬だけでない季節を通じた日常のパラスポーツ活動の発表が行われた 写真・田中勝吾

そのほか、アメリカからは先日閉幕したパラ馬術世界選手権(デンマーク)のリモート取材報告、北海道旭川からは季節を通じて行われる日常のパラスポーツの様子、川崎市の高校生によるオンラインボッチャの開発状況など、離れたところで取り組むパラスポーツの魅力が伝えられた。

取材者が呼びかけ、取材・活動の現場からユニークな報告を持ち寄り、つなぐ多様なファンのネットワークを広げて行きたい。

横浜のスタジオとオンライン参加者で記念撮影 写真・田中勝吾


報告フォトムービー
ARIGATO TOKYO
by 中村 Manto 真人
https://youtu.be/Nfeqc030B2M

「この日」
by 秋冨哲生
https://youtu.be/GMvquiCX5rY

BEIJING2022 PARARIMPICS
by 中村 Manto 真人
https://youtu.be/TVRD-yTXC2k

報告者:パラフォト取材者(カメラマン・記者)、旭川パラスポーツ協議会、川本文人さん(NECプロボノ倶楽部代表)、川崎市立川崎総合科学高校デザイン科3年生の皆さん、高橋昌希さん(視覚障害メディアSpotlite編集長)、平野誠樹さん(電動車椅子サッカー横浜クラッカーズ監督)
スペシャルゲスト:斉藤あや子選手(車いすカーリング、アーチェリー日本代表)、寺西真人コーチ(パラ水泳)
共催:横浜コミュニティデザイン・ラボ/LOCAL GOOD YOKOHAMA

ライター紹介

パラスポーツを伝えるファンのメディア「パラフォト」(国際障害者スポーツ写真連絡協議会)代表。2000年シドニー大会から夏・冬のパラリンピックをNPOメディアのチームで取材。パラアスリートの感性や現地観戦・交流によるインスピレーションでパラスポーツの街づくりが進むことを願っている。(プロフィール写真:©️Manto Nakamura)

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