ローカルグッドニュース

【インタビュー】サスシーをもっと身近に!SDGsを発信する学生団体「TEHs」インタビュー

横浜市立大学公認の学生団体「TEHs(テフズ)」が、国内大学で初となる食堂でのサステナブル・シーフード(以下サスシー)の提供を実施していますました。「横浜市大生を中心に多くの人にSDGsを知ってもらう」ことをビジョンに掲げ、約2年にも及ぶサスシーのプロジェクトを走り抜けたTEHsのみなさん。

今回、そんな活力あふれるTEHsのメンバーである5名をゲストにお招きし、オンラインでインタビューを開催しました。周りの人を巻き込むことのできる原動力、前例のないプロジェクトを通して芽生えた思いをお聞きしました。

※サステナブル・シーフード:MSC認証(水産資源と環境に配慮し適切に管理された、持続可能な漁業で獲られた天然の水産物の証)、もしくはASC認証(適正に管理された養殖場で生産された水産物である証)を取得した水産物。

 

登壇いただいたTEHsのみなさん

  • 井上 明香里(イノウエ アカリ)さん|横浜市立大学 国際教養学部 4年
  • 南 亜伽音(ミナミ アカネ)さん|横浜市立大学 国際教養学部 4年
  • 竹中 萌(タケナカ モエ)さん|横浜市立大学 国際教養学部 4年
  • 辻井 未玖(ツジイ ミク)さん|横浜市立大学 国際教養学部 4年
  • 江頭 和(エガシラ ノドカ)さん|横浜市立大学 国際教養学部 2年

インタビュアー

  • 大武和生(オオタケ カズキ)|横浜市立大学 国際商学部 3年

 

「当たって砕けろ精神で始めたプロジェクト」

 

大武(以下大):今日はお集まりいただきありがとうございます!早速ですが、TEHsはどんな活動をしている団体なのですか?

竹中さん(以下竹):TEHsはSDGsを広めようという目的で活動していて、特にコロナ禍はSNSを通してSDGsの情報発信をしていました。また情報発信にとどまらず、サスシー・プロジェクトだったりオンラインでの映画上映会など、何か感じてもらえるきっかけを作ってきました。情報発信にプラスして実際に何か動いてみる活動が主でしたね。

:コロナ禍だからできたこと、叶わなかったことはありますか?

:初めてのプロジェクトだった映画の上映会を準備している段階でコロナ禍に入ってしまい、出鼻をくじかれた感がありました。イベントをやっていこうという心づもりだったので、どうやって大学の人に呼びかけをしていこうか苦慮する部分もありました。

一方で、社会的にオンライン上での活動が活発になったおかげで、より多くの人に見てもらえるようになったのも確かです。取材される方や、多くの新入生など、いろんな出会いがありました。

:オンラインが普及したからこそ間口が広がったんですね。

南さん(以下南):新歓の時期にコロナが流行したのを覚えています。例年通りだったら他の団体の方が魅力的な新歓をできたかもしれませんが、その年はどの団体もオンライン。本当だったら差がつく状態でのスタートでしたが、平等な状態で新歓をでき、より多くの人に入部してもらいました。

:サスシーのプロジェクトでは企業や大学との連携が多かったと聞いています。1学生団体がこれほど多くの大人を巻き込める原動力はなんでしょう?

井上さん(以下井):「なんでこんなに協力してくれるの」と言う思いは私たちにもありました。気になって大人の方に直接聞いてみると、「学生がこんなに頑張ってるんだから何かしないと、と思った。その熱意に押された」と言ってくださるんです。学生だからこそ気持ちがダイレクトに伝わりやすいし、協力してくれる人が多いのかなと活動していて感じました。

:そうした大人の方と交流して得た思いや経験があれば、共有していただきたいです。

:大人の人が協力してくださったのは、私たちがたくさんたくさん考えて準備したからだと思います。どうやったら先方に熱意が伝わるか、どうやったらよりアピールできるプレゼン資料を作れるかなどを何ヶ月もすり合わせ続けたサスシー・プロジェクトが成功したおかげで、当たって砕けろ精神でなんでもやってみようと考えるようになりました。ダメもとでも努力は認められるというか、熱意は伝わると確信した瞬間です。

:TEHsの特徴や、「ここがすごいぞ!」といった強みは何ですか?

:お互いに自分が思っていることを率直に言い合える雰囲気です。「ボランティアに行きたいから一緒に行ってみない?」と言うようなざっくばらんな投げかけに、関心のある人が一緒に参加できるような空気感があります。

サスシー・プロジェクトに関しても、授業で他の受講生が「これやってみない?」といったところから話が始まって企画化していきました。フランクにものが言い合えるので、実際に企画する時誰が何に関心があるのかを理解している状態で動ける、迷わずに実行できるところが特徴ですかね。

:総じてみんな意識が高い!大学院に進学する人もいるので、私も頑張らなきゃと思わせられます。一人ひとりのメンバーが自分に影響与えてくれるような環境です。

 

2年の月日を経たプロジェクト

:サスシーに注目して企画化に至った理由を教えてください。

辻井さん(以下辻):パナソニックホールディングスのCSR担当の方がゲストで授業にいらして、サスシーの話をしてくれたんです。その授業の後に「自分たちでやってみない?」と私たちに話を持ってきてくれた同期がいて、じゃあやってみようと立ち上がったのが1番最初のきっかけです。

:その後はどれくらいの期間で進めていったんですか?

:事前準備と認証を受けるタームの大きく2つありました。最終的にメニューが導入されるまでは大体2年位かかりました。

:2年!長期にわたるプロジェクトだったんですね。そんな長い道のりの中で、辛かったことや逆に楽しかった事はありますか?

:前例がないプロジェクトなので、踏襲するものもなく1から作り上げなければならないのが大変でした。誰に許可を取って、どんな資料を作成すればいいのか、毎週自分たち達だけでミーティング漬けです。

また、一番大変だったのは費用の工面。一学生団体がパッとお金を出せばそれで終わりなんですが、「持続可能性」を考えると大学や生協の名前と一緒にリリースした方が意義があると感じました。学生が勝手にお金を集めてやったことではなく、大学が一緒にやったと言う形にしたかったので、大学や生協からしっかりと認証を受けるために事前準備をしました。根拠のあるデータなのか、他の認証団体じゃダメなのかというところまで深掘りした結果、企画書を作る段階で1年、監査期間が半年ほどかかりました。

これだけ長引くとモチベーションが下がる人も出てきて、「これ無理なんじゃない?」と言う雰囲気は正直あったので、そこはみんなで意識を何度もすり合わせて、もうちょっと頑張ろうと2年間を走り抜けたと思います。

:2年の長い月日を経て企画化したこのプロジェクトを通して、特にTEHsのメインターゲットである横浜市大生に伝えたい事はありますか?

:団体の設立当初からの目標であるSDGsの認知度もそうだし、今回提供しているサスシーの認知度を高め、横浜市大生にその重要性を感じてもらえたら嬉しいです。

:国内大学初の試みとなったこのサスシー・プロジェクトが、横浜市立大学だけじゃなく他の大学にも広まっていったら良いなと思います。

また、大学生だから大きなプロジェクトをすることができないとか、大人の事情との兼ね合いがあるとかそういった偏見を持たずに、大学生は何でもできるという風に思ってもらえたら嬉しいです。

 

サスシーに続く新たな企画を

:江頭さんは現在2年生ですが、今後TEHsでチャレンジしてみたい事はありますか?

江頭さん(以下江):サスシーのような大きなプロジェクトを何か考えてやっていきたいなというのは現役メンバーで話していますが、まだ具体的な案は思いついていない状態です。これからいろんな方々と繋がりたくさん勉強して、新たな企画を生み出せたらいいなと思っています。

:TEHsとして今注目しているSDGsのゴールは?

:SDGs の何番に特化している、といった学生団体が多いですが、TEHsではあえてそれを決めていません。項目を絞るより全項目において貢献できるようなことが何かないかなと日頃から考えています。興味のある分野はメンバーそれぞれなので、コミュニティーの中で興味のある分野、そうでない分野を幅広く自由に活動できる環境を作っていければと思います。

:今後どういった人たちとコラボレーションしていきたいですか?

:サスシー・プロジェクトでは大学の広報課や学生支援課、生協など多くの人たちとやりとりをしていたので、そこでできたつながりを今後も強めていき、また大きなプロジェクトをしていけたらなと思います。横浜市や神奈川県など影響力の強い方々と大きなスケールのこともやってみたいです。

:インフルエンサーとのコラボが知名度を上げる上で有効だと思っていて、最近みんなで話しているのが、サスシー導入を祝って桝太一さんをお呼びしてセレモニーできたらいいよね!と言う話をしてます。こんな感じで自分たちのやりたいことの中から企画って生まれてくると思うので。

:桝さんとTEHsがコラボすると想像するとワクワクしますね!

 

おわりに

「サスシーを学食に導入する」という前例のないプロジェクトを発案し、仲間との密な話し合い、企業や大学などとの連携を通じて見事実現に至ったTEHsのみなさん。企画立案からステークホルダーとのやりとり、学食への導入まで一気通貫して行う姿に、今回インタビューさせていただいた大学生の私は、一学生がこれだけインパクトの大きい活動を実践できるんだ!と可能性を感じるきっかけとなりました。

横浜市立大学から市全体、そして全国へ。サスシーがより身近な食の選択肢になる、そのスタートラインになり得るプロジェクトであったことを確信すると共に、次なるTEHsの活動から目が離せなくなったインタビューとなりました。

ライター紹介

2001年生。神奈川県在住。横浜市立大学国際商学部に在学。起業家人材論ゼミに所属し、起業家精神やスタートアップ・エコシステムの分野を学習している。趣味はラジオやPodcastなど音声メディアの視聴。自称「感化請負人」。ライティングの関心分野はローカル・コミュニティや環境保護活動。

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