ローカルグッドニュース

【ニュース】港北区でサービス開始!横浜市初のSIBモデル事業「オンライン健康医療相談」

概要

横浜市では、横浜市初となるSIBモデル事業のサービスが開始されました。本事業は新たな公民連携手法であるSIB(ソーシャルインパクトボンド)を活用した委託事業として実施され、母親の産後うつのリスク軽減効果を成果指標として評価を行い、成果に応じた委託料が横浜市から事業者に支払われました。

令和2年度から3年度に港北区をフィールドに、オンラインで気軽に専門の医師に相談ができるサービス(産婦人科オンライン・小児科オンライン)を提供し、サービス利用による母親の産後うつのリスク軽減効果を検証しました。

対象者は、妊娠期から特に不安が強くなりやすい産後4か月までの妊産婦の希望者(約 730 名)。参加希望者を次の2つのグループA、Bにランダムに振り分け、グループ間で産後うつリスクを比較しました。

事業の効果検証を経て最終評価が行われ、検証結果からは産後うつ高リスク者の減少が認められ、令和4年度も港北区で引き続き、デジタル技術を活用した「オンライン健康医療(母子保健)相談」サービスを実施します。

オンライン健康医療相談とは、株式会社KidsPublicが提供するオンラインによる遠隔健康医療相談サービスのことで、平日の午後6時~10時にスマ ートフォンやパソコンから、チャット・音声通話・動画通話のいずれかを通じて産婦人科医・助産師、 小児科医に 直接相談することができます。

10分間の予約制をとっており、診療行為は行われ図、一般的な医学的情報の提供、受診勧奨、相談を行います。 出産後の参加者に対し、午後1時〜5時まで助産師に予約なし・回数制限なしのチャット相談のサービスも提供されています。

 

SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)とは

SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド):新しい官民連携の仕組みで、民間の資金やノウハウを活用して社会課題の解決が必要な事業(サービス)を実施 し、行政は成果が達成された場合に事業費や報酬を支払う、成果連動型民間委託契約(PFS)の手法です。2010 年 にイギリスで初めて SIB が実施されて以降、世界各国で活用が進んでいます。

若者支援の「ソーシャルインパクトボンド (SIB )」を横浜から構想する(LOCAL GOOD YOKOHAMA)

 

 

実施体制

▶サービス提供者 株式会社 Kids Public
▶中間支援組織 EY 新日本有限責任監査法人
▶研究機関  国立大学法人東京大学(大学院医学系研究科 保健社会行動学分野)
▶第三者評価機関 株式会社 公共経営・社会戦略研究所
▶資金提供者 株式会社 横浜銀行

 

最終評価

最終の成果指標である産後3か月時点の産後うつ高リスク者の発生率は、グループ A(介入群)が 15.2%、グループ B(対照群)が 22.8%であり、介入群の方が産後うつリスクが低い結果となりました。 産後うつ高リスク者の割合は、対照群に対して介入群で 0.67 倍であり、その相対的減少度は 33.5%とな ったため、あらかじめ設定した支払い基準に基づき支払いを行います。

(参考)成果指標の評価基準

※ 成果指標に基づく支払う金額の上限(成果連動分)は契約総額の10%としています。

▶最終評価に関する報告書は次の URL よりご確認いただけます。
https://www.city.yokohama.lg.jp/business/kyoso/private-fund/social-impact/pfs.html

 

SIB/PFS による効果・意義

以下のコメントが寄せられています。

 

  • 受託者から、SIB 導入による借入れは今回生じなかったが、民間資金があることで事業を最後まで設計できる安心材料となったとの意見があった。今後は資金に不安を抱える事業者等に対し、必要に応じて選択 できる有効な手段として情報提供していきたい。
  • 成果連動型民間委託契約(PFS)としたことで、受託者へより高い成果を目指して取り組むインセンティブ を与えることができました。
  • 成果指標に基づき、効果を検証することで、事業効果のエビデンスを得ることができたため、翌年度の事業化につなげる ことができました。
  • この度の経験を活かし、データやエビデンスに基づいた効果的な事業例として、周知していきます。

 

令和4年度 オンライン母子保健相談事業(港北区)

産後うつ高リスク者の割合が減少したという検証結果を受け、子育て世帯の多い港北区において、妊産婦等を 対象に夜間等にオンラインで専門の医師等に相談ができる「オンライン母子保健相談事業」をモデルの実施がはじまっています。

オンライン相談により産前産後の不安に寄り添うだけでなく、相談をきっかけに港北区の子育て支援施策や地域の子育て支援の場、医療機関での受診にも繋げて行くことを想定しています。

■対象者:港北区在住の妊産婦及び0歳児を育てる家庭
※令和4年度の事業はグループ分けによる比較は行わないため、利用を希望する対象者全員に無料でサービスを利用可能

■提供するサービス・平日夜間(18 時から 22 時)のオンライン健康医療相談 (10 分間の予約制、チャット・通話・動画通話を選択可能)
・いつでも相談(毎日 24 時間メッセージを送れて 24 時間以内に返信をもらえる一問一答形式のオンライン健 康医療相談)
・産前産後の健康情報等のオンライン配信
・妊娠中から授乳中のチャットボットによる薬の情報検索 等

■サービス提供期間:令和4年4月 28 日(木)~令和5年3月 31 日(金)
■受託事業者(サービス提供者):株式会社 Kids Public

ライター紹介

LOCAL GOOD YOKOHAMAは、まちでコトをつくりたい、人とつながりたい、課題を解決したいと考えている市民のみなさんのICTプラットフォームコミュニティ。みんなが情報やコミュニケーションでつながり、人が集まることで何かがはじまる場をつくり、コミュニティや活動がこれからも続くキッカケをデザインします。まちの課題や問いに対して「自分ごと」として新たな一歩を踏み出し、まちの未来をより良くするアクションを 「LOCAL GOOD」と名づけました。 さまざまな地域課題に向き合う「ローカルグッドプレイヤー」とともに、共に考え、語り、取材をすることは、新たな視点や経験を得る貴重な体験です。取組を知り、現場でつながることは、おたがいの働く、学ぶ、暮らすを変えてゆくためのアイデアやアクションを生むためのイノベーションのヒントになります。地域のプレイヤーが悩み、チャレンジする現場に足を運び、声に耳を傾け、みなさんの得意や関心に併せた役割を見つけてください。自らを知る、変えるチャンスを提供します。誰もが参加して応援できるローカルグッドサポーターが、はじまっています。 https://yokohama.localgood.jp/about/ LOCAL GOOD YOKOHAMA 編集部へのお問い合わせやご意見、取材希望や情報提供はこちらにお願いいたします。 localgood@yokohamalab.jp 

ニュース一覧へ戻る