ローカルグッドニュース

11月14日「いのちの木」岩永敏朗さん×横浜国立大学相馬直子さん座談会を開催

1114日、仲町台のコミュニティカフェ「いのちの木」(横浜市都筑区仲町台)で、NPO法人「五つのパン」理事岩永敏朗さんと横浜国立大学経済学部准教授相馬直子さんをゲストに招いた座談会が開催されました。会場には、独居老人の社会的孤立問題をテーマに研究を進めている相馬ゼミの学生や、普段「いのちの木」を利用している高齢女性らが集まりました。

会場には20名余の参加者があつまった。

会場には20名余の参加者があつまった。

このイベントは、相馬ゼミの学生が行っている研究に関連した現場の公開ヒアリングとして行われました。学生が「元気な高齢者が病院の待合室で井戸端会議を行っているという社会状況の調査を始めたことをきっかけに、高齢者が憩える場所の少なさを感じた。高齢者の憩いの場所の必要性が今後高まっていくことを認識するようになった。話し相手がいない、退職により生き甲斐というものがあまりないなどの社会的孤立をする高齢者が全国的に増えているなかで、社会的孤立に陥らずに社会参加が行われている好例として、いのちの木の事業についてヒアリングをしたい」ときっかけについて話し、座談会がはじまりました。

岩永さんからは、まず、いのちの木のはじまりについてお話がありました。

NPO法人五つのパン理事岩永さん コミュニティカフェいのちの木の始まりについて語った。

NPO法人五つのパン理事岩永さん コミュニティカフェいのちの木の始まりについて語った。

NPO法人五つのパンでは、20099月から地域活動支援センター「マローンおばさんの部屋」を運営してきました。「マローンおばさんの部屋」はものづくりとショップ、そしてコミュニティーカフェの三つの部門からなる精神障がい者のための地域活動支援センターで、若い主婦向けにコーヒーを飲める場所をつくっていました。3月11日の東日本大震災が起きた後、区役所の職員の話から「マローンおばさんの部屋」から歩いて数分のところに計画停電の影響で生活に支障が出ている孤立化した高齢者がいることを知りました。都筑区は若いひとしかいないのだろうとおもっていた岩永さんはそこで初めて孤立した高齢者の存在を認識することとなり、高齢者が暮らすマンションの一室の図書館で出張カフェをはじめ、ひきこもりがちな高齢者の方々と関わりをもつようになったそうです。

そのような出来事を経て、かねてから持っていた高齢者の技術を若い人や孫の世代に継承する場をつくりたいという想いが形となり、2012年横浜市セーフティーネットモデル事業として採択され、高齢の方から次の世代に技術を継承していく場所をつくる場「いのちの木」が生まれたそうです。

横浜国立大学経済学部准教授の相馬さんは日本と韓国を中心に家族政策の比較研究、子どもと女性の社会的孤立問題やこどもと女性の解放や自由をテーマとして研究を行っています。相馬さんからは既存の「制度」の在り方とその観点からの「いのちの木」の意義について次のようにお話がありました。

一般的に、困難を抱える/支援を必要とする人々への支援の責任や役割分担にはいまだ正解がありません。国家の役割が大きくなると国家財政に大きな負担となり、一方で、家族や個人に責任をもたせると個々人の孤立化が進むことになります。常にジレンマを抱えており、そのジレンマの帰結が無視や無関心、つながりの希薄化につながっていきます。

「制度」は年齢と機能で市民を区分し支援対象者を切り取り、切り取った側面においてサービスや資金をまわしていくものです。切り取る際に、認知的側面が大きく関係してきます。現在もっている価値観や考え方が制度を深い部分で規定してくるのです。今までは中央政府が課題の状況定義や問題定義を行い、制度をつくってきました。

相馬直子さん 横浜国立大学大学院国際社会科学研究院准教授

相馬直子さん 横浜国立大学大学院国際社会科学研究院准教授

しかし、そのように支援対象者を切りとることが難しい分野もあります。たとえば、ダブルケア(育児と介護の同時進行)はどうでしょうか。女性の晩婚化により出産年齢が高齢化し、血縁関係も少なく希薄になっているなかで、子育てと親の介護を同時にしなければならない世帯(ダブルケア負担の世帯)の増加が予測されます。この場合、「制度」として切り取ることが難しく、包括的な、人の人格を包み込むようなサポートが必要になってくるのです。

「いのちの木」は、多様な市民/当事者があつまって、自分たちが抱えている困りごとを話し、問題定義/対象定義に参画して、新しい包摂的な地域のサポートの仕方を下からつくり上げていると相馬さんは語りました。

普段、いのちの木を利用している女性達も、普段感じている思いを語った。

普段、いのちの木を利用している女性達も、普段感じている思いを語った。

また、相馬さんの「自立しなければいけない/自由になりたいという気持ちと、誰かに頼りたい/寄り添いながら生きていきたいという気持ちのバランスをどのようにとるのか」というお話は、いのちの木にあつまる高齢女性の気持ちに重なるものでした。先に夫を亡くし独居している女性は「ひとりの寂しさとひとりの喜楽は裏腹にあります。ひとりで暮らすことは気楽だが、夜になると寂しさがついてくる。いのちの木で行われている編み物サークルが、仲間をつくりおしゃべりをすることで寂しさが紛れ、また、お茶代を自分で稼げる場となっている」と語りました。

 学生からの「運営していく上で課題と感じていることは?」という問いに対し、岩永さんは、現在、財政的に「いのちの木」は運営しきれていない。別にヘルパーステーション事業を行っておりその余剰金でまかなっているが、今後は、雇用を生み出すことでお金をまわし運営していく必要があると感じていると語りました。

 会場にあつまった学生たちは、さまざまな感じ方をしたようでした。感想を掲載します。(所属、お名前はふせています)

1114いのちの木岩永さん×横浜国大相馬先生対談 from LOCAL GOOD YOKOHAMA

ライター紹介

「LOCAL GOOD YOKOHAMA」は、 サービス、 モノ、 カネ、 ヒト、 情報の循環をつくっていくことを目指し、インターネット上の場と、インターネットを超えた地域の現場両面から、地域をよくする活動「地域のGOOD=ステキないいコト」に市民、企業が参加するきっかけをつくっていきます。活動に加わり、メンバーとして地域に関わっていくローカルグッドサポーター、プロボノを募集しています。

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