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【参加レポート】遺伝子にスイッチが入るということ~第17回トム・ソーヤースクール企画コンテスト表彰式・講演会~

※この記事は、LOCAL GOOD YOKOHAMAの市民サポーターによる記事です。LOCAL GOOD YOKOHAMAは市内で社会参画を志す市民と積極的に連携しながら、市民が自ら作り出すコンテンツづくりのサポートを進めています。

1月26日、カップヌードルミュージアム(安藤百福発明記念館・横浜市中区新港2)で第17回トムソーヤ―スクール企画コンテスト表彰式・講演会が、「自然体験~遺伝子にスイッチを入れるには~」をテーマに開催されました。

トム・ソーヤースクール企画コンテストは、自然活動は子どもたちの体力・創造力・チャレンジ精神を育むという考えに基づき、企画を公募・表彰するもので、今年も全国から選ばれた創造性に富んだ50団体に及ぶ自然体験活動の中から、優秀賞や推奨モデル特別賞など、7つの団体が選ばれ表彰を受けました。

学校部門で文部科学大臣賞に選ばれたのは、大阪府太子町中学校社会科学部の企画「ドキドキ!ワクワク!特別体験~自然・生物と触れ合い、地域の魅力を発見しよう~」でした。

この企画は、郷土の魅力や文化遺産を対象に子供たち自らが、調査研究・情報冊子の編集デザインなど細部に渡り深く関わり、その過程で地域の住民の方々との交流も交えながら学ぶもので、その中でも普段自己肯定感の低い子が、自分の得意分野を見い出し、目を輝かせながら活動する姿があったという報告があり、大変興味深かったです。

一般部門からは安藤百福賞として「星美ホーム百名山~海抜0mからの挑戦~」(東京都 社会福祉法人星美ホーム)、優秀賞に「第11回寺子屋つばさ100km徒歩の旅」(新潟県 寺子屋つばさ100km徒歩の旅実行委員会)が選ばれ、共に、時に我慢や苦しさを経験することによって自信や感動が生まれ、「仲間と一緒だから成し遂げた」という体験が、貴重な時間になっている様子が伝わってきました。

現代の学びの場において、とかく危険や心配だからといったことで、子どもが豊かな体験にチャレンジできる場や機会が減ってきました。ですが、もちろん安全管理はしっかりした上で、この様な体験の場を増やさないと、きびしい競争社会の中、何かの拍子にこぼれ落ちてしまう存在が増えてしまうのだと思います。

今回、この表彰式と一緒に、元サッカー日本代表監督でお馴染みで、現在は株式会社「今治. 夢スポーツ」代表取締役会長の岡田武史さんの基調講演が行われました。岡田さんのお話しされた内容は、「豊かな学びとは何なのか?」という、とても本質を捉えたものだったので、それをご紹介したいと思います。

一般的には監督としての顔が多くみなさんには親しまれていると思いますが、以前から環境問題に関心があり継続的に取り組まれてきたそうです。

1992年リオデジャネイロで開催された「国連環境サミット」でのカナダの小学生による社会に対する提言を紹介され、経済的な欲望や国益、そして人類としての欲望を超えて、地球に住まう生物の一種として、産業革命以降急速に進んできた環境破壊を、哲学や価値観などの考え方を包括して捉え直す必要性があるのではと提起されました。

現代社会は、IoTやAIなどの促進にあるように、人間が、便利で楽のできる環境をどんどん作っています。その結果、主に子どもが成長する為に必要な「良い意味の苦労」をする体験の場を奪っているのではないか。

本来、成長段階では五感をフルに使って様々な苦難を体験することが大切で、その中でそれを仲間との連帯や共感などを通じて乗り越えていくことで、いわゆる「遺伝子にスイッチが入り」、大きな気付きや成長に繋がり、夢や目標を持てるようになります。

そしてそれを感じさせてくれるのは自然体験であり環境教育です。現代人は自然から離れてしまい、本当の豊かさが何なのか分からなくなってきた状況があるように感じます。経済的な指標である数値の大小ばかりが判断基準となり、目に見えづらい信頼や共感といったココロの豊かさが見えなくなって来ています。

AIやテクノロジーの進化ばかりが叫ばれる現代だからこそ、自然の中で人と人とがリアルな困難やココロを揺さぶる体験を共感することが大切で、「『生きる』とは何だろう?」ということを五感で感じとっていく必要があるのではないかと総括されました。

最後に「振り返ること」の大切さを語られました。サッカーでも講演でも、何でもやりっ放し聴きっ放しではなく、後から「良かったこと・悪かったこと・次に繋げるには」を5分でもいいから振り返ることは、成果をより高める効果があるそうです。

コンテストの受賞企画団体の取組みは、どれも子どもたちが自然に仲間と共に挑み、困難を分かち合い共感しながら乗り越えていく、また多世代との交流なども大切にした成長の場であり、会話が苦手だったり普段自己肯定感が低かったりという子どもでも、得意なことを活かし、達成感を味わう中で自信をつけていく。そんな学びに溢れる企画ばかりでした。

ライター紹介

LOCAL GOOD YOKOHAMAは、まちでコトをつくりたい、人とつながりたい、課題を解決したいと考えている市民のみなさんのICTプラットフォームコミュニティ。みんなが情報やコミュニケーションでつながり、人が集まることで何かがはじまる場をつくり、コミュニティや活動がこれからも続くキッカケをデザインします。まちの課題や問いに対して「自分ごと」として新たな一歩を踏み出し、まちの未来をより良くするアクションを 「LOCAL GOOD」と名づけました。 さまざまな地域課題に向き合う「ローカルグッドプレイヤー」とともに、共に考え、語り、取材をすることは、新たな視点や経験を得る貴重な体験です。取組を知り、現場でつながることは、おたがいの働く、学ぶ、暮らすを変えてゆくためのアイデアやアクションを生むためのイノベーションのヒントになります。地域のプレイヤーが悩み、チャレンジする現場に足を運び、声に耳を傾け、みなさんの得意や関心に併せた役割を見つけてください。自らを知る、変えるチャンスを提供します。誰もが参加して応援できるローカルグッドサポーターが、はじまっています。 https://yokohama.localgood.jp/about/ LOCAL GOOD YOKOHAMA 編集部へのお問い合わせやご意見、取材希望や情報提供はこちらにお願いいたします。 localgood@yokohamalab.jp 

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