ローカルグッドニュース

クラウドファンディング実施中:校内居場所カフェ「ようこそカフェプロジェクト」キックオフイベントを開催

11月3日、現在LOCAL GOOD YOKOHAMAからクラウドファンディング中の校内居場所カフェ「ようこそカフェ」プロジェクトのキックオフイベントが、「地域から高校生を支援する仕組みをつくろう~『校内居場所カフェ』の可能性を探る~」というテーマのもと、さくらリビング(横浜市中区桜木町1)で開催されました。

定時制に通う高校生の社会的自立を支える校内居場所カフェ「ようこそカフェ」。毎週水曜日、横浜市立横浜総合高等学校のフリースペースにオープンするカフェでは「無料のお菓子・ドリンク」「リラックスしてくつろげる場所」「ちょっとした悩みから卒業後の進路まで相談に乗ってくれるスタッフ」による「交流相談」の場づくりが進められています。
オープンから2年、毎回200人近い高校生が立ち寄り、無料で提供されるドリンクやお菓子、軽食を片手に、友人とおしゃべりしたり、大学生や社会人のスタッフ、地域の大人と交流する中で、自立に向けての「つながり」や「体験」を少しづつ積み重ねています。

しかし、運営にかかる費用は公的な助成金や高校PTAからの寄付でまかなっており、週1回・通年でカフェを実施するためには、お菓子やドリンク、軽食にかかる費用が足りていないのが現状です。進路未決定や中退を予防し、卒業後の社会的自立を支えるための「校内カフェ」を継続させるため、クラウドファンディングを実施することになりました。

ようこそカフェプロジェクト・背景についてはこちら。

プロジェクトオーナーの尾崎万里奈(よこはまユース事業企画課)さんが司会を務める中、まずはじめに、ようこそカフェの運営団体の一つである公益財団法人よこはまユース(横浜市中区住吉町4)の事業企画課課長、髙橋勇一さんから挨拶があり、クラウドファンディング実施の経緯や目的、キックオフイベントの趣旨などが話されました。横浜総合高校の小市校長からは、横浜総合高校似通う生徒たちについて、多くが家庭などに何らかの事情を抱えていることが話されました。

髙橋勇一さん(公益財団法人よこはまユース 事業企画課課長)

小市聡さん(横浜市立横浜総合高校 校長)

基調報告は、高橋清樹さん(NPO法人多文化共生教育ネットワークかながわ事務局長)、高橋寛人さん(横浜市立大学教授)。高橋清樹さんは「つながり」について、かつての地域の人と人との”つながり”が、現在はネット上での”つながり”に変容していると説明。シャワーのように情報が降り注ぐネットの世界で、受動的に情報を受けがちになる中、「自発的なコミュニケーション」の必要性を訴えました。校内カフェは、そういったコミュニケーションができる場だと話します。高橋寛人教授からは、校内カフェに期待することとして地域をはじめとするNPOや企業、行政が協力して生徒の「居場所」となる校内カフェを運営していく必要性が話されました。特に「子どもが変わったのではなく、社会が変わっている」という高橋清樹さんの言葉からは、社会構造の変化の渦中にいる若者たちが「生きづらさ」と向き合いながら生きる様子が連想され、参加者を深くうなずかせました。

 

高橋清樹さん(NPO法人多文化共生教育ネットワークかながわ事務局長)

高橋寛人さん(横浜市立大学教授)

また、横浜総合高校の校内カフェにボランティアとして参加する横浜市立大学学生の柏はるなさんや、横浜総合高校の教員、堀谷沙貴さんも登壇。現場にいる中で大切にしていることや、感じていることが話されました。

堀谷さんは、横浜総合高校の教員として、様々な人や団体が校内カフェを通して生徒たちを支えていることに感謝を述べました。校内カフェができたことで教員自身も生徒たちとの向き合い方が変わったと話します。生徒たちが学校を「居場所」として捉え始め、自分たちの学校を誇りに思い始めているという生徒たちの変化を感極まりながら話す様子に、会場の空気が一つになりました。

堀谷沙貴さん(横浜総合高校教員)

柏はるなさん(横浜市立大学学生)

最後の質疑応答では、横浜総合高校の校内カフェにボランティアとして参加している女性が「校内カフェでは皆が無理なくニコニコしている。多くの学校がこのような場を必要としているのでは」と話しました。

クラウドファンディング挑戦予定の参加者が意気込みを話す

校内カフェにボランティアとして参加している参加者

校内カフェの運営ボランティアと接する中で生徒が漏らした「帰りたくない」という言葉。聞き逃さず、ゆっくりと話を進めていくうちに、家庭内で暴力を受けていることが判明し、児童相談所に報告した例もありました。悩んでいることを誰にも話さず少しずつ溜めていくうちに、どんどん暗闇の中に入りこんでしまいます。安心して誰かに話せる環境が一日の大半を過ごす学校にあり、少しずつですが横浜総合高校にその環境が整いつつあるというここまでの過程が、今回のイベントを通して見えてきました。

今回のキックオフイベントで、最低目標金額の18万円を突破し、まずは目前の目標を達成しました。引き続き横浜総合高校の校内居場所カフェを継続させていくための必要資金を募集しています。ご協力、よろしくお願いいたします!

参考:

「定時制高校とは」

1948年の学校教育法施行に伴い、中学校卒業後すぐに働くなどして全日制に進めない生徒の教育の場として始まる。はじめは夜間に設置されていたが、近年では不登校経験を持つ生徒や様々な事情で全日制の高校へ進めなかった人たちなど需要が多様化し、昼間にも開かれている。横浜市では、横浜市立戸塚高等学校が全日制と定時制、横浜市立横浜総合高等学校が三部制・単位制の定時制高校となっている。

ライター紹介

LOCAL GOOD YOKOHAMAは、まちでコトをつくりたい、人とつながりたい、課題を解決したいと考えている市民のみなさんのICTプラットフォームコミュニティ。みんなが情報やコミュニケーションでつながり、人が集まることで何かがはじまる場をつくり、コミュニティや活動がこれからも続くキッカケをデザインします。まちの課題や問いに対して「自分ごと」として新たな一歩を踏み出し、まちの未来をより良くするアクションを 「LOCAL GOOD」と名づけました。 さまざまな地域課題に向き合う「ローカルグッドプレイヤー」とともに、共に考え、語り、取材をすることは、新たな視点や経験を得る貴重な体験です。取組を知り、現場でつながることは、おたがいの働く、学ぶ、暮らすを変えてゆくためのアイデアやアクションを生むためのイノベーションのヒントになります。地域のプレイヤーが悩み、チャレンジする現場に足を運び、声に耳を傾け、みなさんの得意や関心に併せた役割を見つけてください。自らを知る、変えるチャンスを提供します。誰もが参加して応援できるローカルグッドサポーターが、はじまっています。 https://yokohama.localgood.jp/about/ LOCAL GOOD YOKOHAMA 編集部へのお問い合わせやご意見、取材希望や情報提供はこちらにお願いいたします。 localgood@yokohamalab.jp 

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