2018.10.04
9月30日、てんかんアート展プレ企画「てんかんを聴く『ぽつラジオ』の和島香太郎さんをお招きして」が泰生ポーチ(横浜市中区相生町2)で開催されました。
現在クラウドファンディング中の「てんかんをめぐるアート展プロジェクト 未来の仲間の輪を広げよう」は、10月26日・27日・28日にパシフィコ横浜(横浜市西区みなとみらい1)で開催される「第52回日本てんかん学会」という医療関係者が集う学会に、てんかん患者やさまざまな障がいを持つ方の手掛けたアート作品を展示する「第3回てんかんをめぐるアート展in横浜」のためのプロジェクト。
写真家の原美樹子さん、日本映画大学の学生たちが、アート作品を創り出す過程を撮影し、その写真や動画を会場で展示します。「展示された写真や動画を通じて、言葉では伝わらない雰囲気や、一つの作品・工程に注ぐ膨大な熱意を感じていただきたい」というプロジェクトメンバーの思いのもと、進められています。
日本では、100人に0.5~1人の患者がいるとされるてんかん。あまり理解が広まっていない病気で、一見てんかん患者ということがわかりにくい場合もあります。
動画や写真とあわせて、てんかんや障がいを持つ人たちを理解してもらうための啓発ツール作成のための資金集めという文脈もあります。
クラウドファンディングページはこちら:
てんかんをめぐるアート展プロジェクト 未来の仲間の輪を広げよう
台風接近に伴う雨の中、プレイベントには、てんかんの理解を深めるため当事者から発信しているラジオ「てんかんを聴く ぽつラジオ」パーソナリティーの和島香太郎さん、てんかん当事者で今回アート展に出展予定の権 星鉉(こん そんひょん)さん、アートスペース「横浜パラダイス会館」開設者で障害のある方のアトリエ活動などに取り組んできた蔭山ヅルさんのほか、プロジェクトメンバーの荒木傑さん(横浜北部 障害児者支援 NPO法人みどり福祉ホーム所長)、尾形淳子さん(神奈川県社会福祉士会所属社会福祉士)、甘糟直行さん(NPO法人活動ホームしもごう施設長)、横浜在住の映画監督の坪田義史さん、アートライターでNPOスローレーベル広報ディレクターの友川綾子さん、日本映画大学の学生さんたちが公開ラジオ収録に参加しました。
15時からはじまったラジオ収録。はじめ緊張の空気が漂う中、自己紹介からはじまりました。
プロジェクトメンバーは「てんかんや、その他障がいの当事者」「ふだん間近で障がいをもつ方と触れ合っているという立場」「社会福祉士」「伝える立場(映像制作者)」と、それぞれちがう立場から障がい者と関わり、アート展プロジェクトと向き合っている方々です。
まず尾形さんから今回のプロジェクトの趣旨説明があり、その後それぞれの立場から思いが語られました。
話題提供では、NPO法人スローレーベルの友川さんからヨコハマ・パラトリエンナーレについての紹介もしていただき、プロジェクトを進めていくためのヒントを得ました。
♢ ♢ ♢
日本映画大学在学中の伊藤草良さんは、企画委員の榎正晴さんが施設長を務めるSELP杜と同法人のグループホームでアルバイトをしており、今回プロジェクトに参加することになったのもそういった縁からだと話しました。
「障がいをもつ方たちの、楽しそうで、キラキラとしている姿を多くの人に知ってもらいたい」と、自身が実際に見て、感じてきたことを映像にのせて伝えたい気持ちが語られました。
福祉施設に勤務する荒木さん、甘糟さんは、
「障がいの人たちと関わっている中で、心が動かされることがよくある」と話します。
「線を引いてはいけないが、それをさしひいても、僕らには届かない何かすごいものを持っている。絵を描くときも、何を書こうか、と考えないで潔く書き出す人がいる一方で、半日ずっとペンを持ったまま考える人もいる。そういう姿、心が動く瞬間が共有できる場になってほしい」と話しました。
障がい者の方々の手掛けるアートについては、
蔭山さんは、あえて、障がいを持つ方々のアート作品を大々的に「すごいもの」として見せることへの疑問を投げかけました。
関わる中で見たキラキラとしている様子や、心が動かされた体験を多くの人に知ってもらうことで、少しでも理解が広がれば。アートはあくまでもツールで、制作の様子や出来上がった作品を展示することで、コミュニケーションや理解のためのきっかけになれば。プロジェクトメンバーや、それを応援する人たちの願いが、公開収録のお話から伺えました。
学会に展示されるアート作品は、医者の先生たちの興味を引くための「資料」ではなく、てんかんをめぐる障がい者たちの一人ひとりに個性があることを示すもの。学会に来る医者の先生たちに向けて、「ただの『患者』ではなく、改めて、一人の存在として認識してもらうきっかけに」と話されました。
今回の収録は、「てんかんを聴く ぽつラジオ」から配信されています。ぜひご視聴ください。
<てんかんアート展プレ企画「てんかんを聴く『ぽつラジオ』の和島香太郎さんをお招きして」実施概要>
日時:9月30日(日) 15時〜17時
場所:泰生ポーチフロント(横浜市中区相生町2)
http://taisei-po-chi.yokohama/
参加費:無料(カンパ制)
主催:てんかんをめぐるアート展企画委員会
共催:NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボ(LOCAL GOOD YOKOHAMA)
協力:てんかんを聴く ぽつラジオ、ART LAB OVA
▽進行
1. 開催趣旨説明/参加者紹介
2.「ぽつラジオ公開収録」
1部 てんかんの当事者の方とのトーク
2部 てんかん・福祉・アート系の方とのトーク
話題提供
ヨコハマ・パラトリエンナーレのアートドキュメンタリー映画「sense of oneness とけあうところ」 上映会&トーク(10/8)について
・友川 綾子さん(アートライター/編集者、NPOスローレーベル広報ディレクター)
3. クロストーク&オープンディスカッション
4. てんかんアート展の紹介
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てんかん患者の気持ちと、患者を支える人たちの気持ちを聴き、てんかんを取り巻く環境についてぽつりぽつりと話しているネットラジオです。患者だけでなく、そのご家族や会社の同僚などをお招きして、それぞれのメッセージを発信しています。テーマは「就労」、「結婚」、「子育て」など。てんかんで繋がった仲間の協力のもと、毎月一本のペースで配信中。Youtube、Podcastで配信。
https://potsuran2017.wixsite.com/potsuran
https://www.youtube.com/channel/UCtTbxeGThUlSLVJF6amPGkQ
https://www.facebook.com/potsuradio/
https://twitter.com/potsuran
劇映画の脚本・監督、ドキュメンタリー映画の編集に携わる。2017年1月よりネットラジオ「てんかんを聴く ぽつラジオ」を制作。番組内ではパーソナリティーを務める。現在、「第3回てんかんをめぐるアート展」の映像記録を担当。
https://www.facebook.com/kotarowajma
http://www.at-s.com/news/article/featured/social/tenkan/505919.html
川崎市麻生区万福寺にある私立大学。
https://www.eiga.ac.jp/sp/index.html
1967年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業後、東京綜合写真専門学校で写真を学ぶ。1996年の初個展以降、国内外で多数の作品を発表。2017年、木村伊兵衛写真賞受賞。
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10月25日(木)から27日(土)にパシフィコ横浜で「てんかんをめぐるアート展」が開催されます。てんかんアート展は「第52回日本てんかん学会学術集会」とあわせて開催されます。
今年は「らくがきもアート、はなうたもアート、えがおもアート」と題し、てんかんの患者さんや、その仲間の絵画や陶芸などの作品とともに、制作にあたる仲間の姿の写真や、動画などを展示します。現在、同展に出品する作品、ボランティアスタッフも募集しています。
アート展プロジェクトは、てんかんのある方たちの作品とともに、作品の後ろにある製作者の普段の暮らしや生き生きと活動する姿を写真や動画で伝えることを通じて、てんかんについての理解促進を深めていくプロジェクトです。写真家や映像クリエーター達の協力を得て実施します。
アート展の作品展示だけではなく色々な場面で多くの方に関わってもらうことで、てんかん患者さんや障害のある方の地域課題を解決していくためのネットワークを広げていくことを目指しています。このアート展の目標実現のために、LOCAL GOOD YOKOHAMAのクラウドファンディング機能を使った資金調達を行っています。みなさんの暖かいご支援をお願いいたします。
▽LOCAL GOOD YOKOHAMAクラウドファンディング
https://cf.yokohama.localgood.jp/project/tenartkanagawa
*てんかんをめぐるアート展企画委員会とは・・・開催地・横浜の医療福祉関係者が中心となって、第3回てんかんをめぐるアート展の開催に向け、また、てんかんのある方達をとりまく課題に取り組むためのネットワーク作りを行っています。
・問い合わせ tenartfes2018@gmail.com
http://shiroichizu.com/jes52/index.html
LOCAL GOOD YOKOHAMAは、まちでコトをつくりたい、人とつながりたい、課題を解決したいと考えている市民のみなさんのICTプラットフォームコミュニティ。みんなが情報やコミュニケーションでつながり、人が集まることで何かがはじまる場をつくり、コミュニティや活動がこれからも続くキッカケをデザインします。まちの課題や問いに対して「自分ごと」として新たな一歩を踏み出し、まちの未来をより良くするアクションを 「LOCAL GOOD」と名づけました。 さまざまな地域課題に向き合う「ローカルグッドプレイヤー」とともに、共に考え、語り、取材をすることは、新たな視点や経験を得る貴重な体験です。取組を知り、現場でつながることは、おたがいの働く、学ぶ、暮らすを変えてゆくためのアイデアやアクションを生むためのイノベーションのヒントになります。地域のプレイヤーが悩み、チャレンジする現場に足を運び、声に耳を傾け、みなさんの得意や関心に併せた役割を見つけてください。自らを知る、変えるチャンスを提供します。誰もが参加して応援できるローカルグッドサポーターが、はじまっています。 https://yokohama.localgood.jp/about/ LOCAL GOOD YOKOHAMA 編集部へのお問い合わせやご意見、取材希望や情報提供はこちらにお願いいたします。 localgood@yokohamalab.jp