ローカルグッドニュース

根付き始めた若い世代の学習支援ボランティア

港北区で、若手社会人らでつくる「菊名子ども学習会」が活動を開始して丸2年が経ちました。

若手社会人が集まり、地域のこどもたちに無償で勉強や遊びを教える「菊名こども学習会」(松村智史代表)が2014年8月24日で、活動開始からまる2年を迎えました。夏休み中には、子どもたちの自由研究に役立つ実験をメンバーで実践したり、近隣の団体と連携したイベントにも挑戦したり、活動の幅が広がるとともに、少しずつ存在が地域に浸透しつつあるようです。

同会は、毎月第2・第4日曜日の午後に、菊名コミュニティハウス(神奈川県横浜市港北区菊名4)で、20代の社会人を中心とする学習ボランティアが、小中学生に勉強を教えています。一斉に教える塾形式ではなく子どもそれぞれが持ち込んだ教材を個別に大人が教える形式です。現在登録しているボランティアは約40人ほど。大学生主体の学習支援ボランティア組織は多いですが、社会人主体のグループは珍しく、毎回、都合のつく10人ほどのメンバーが参加しています。

同会は、2012年8月に港北区菊名に住む代表の松村智史さんが。たった1人で始めました。
都内に通勤する「サラリーマン」である松村さんがこの活動を始めたのは、2011年3月の東日本大震災がきっかけでした。

「被災地には行けなくても、この町でできることを考えた」と1人で活動を始めた松村さん

「被災地には行けなくても、この町でできることを考えた」と1人で活動を始めた松村さん

秋田県出身で、宮城県にある大学で学んだ松村さんにとって、東北の苦難は「自分ごと」。「何かしたい、役に立ちたい」という気持ちに駆り立てられました。両親も教員で、大学院まで教育について学んでいた松村さんは、テレビニュースで見た被災地の子ども達の学びを支援する活動をみて「被災地に行って活動することはできないが、自分の住むまちで、まずはやろう」と決め、動き始めました。

チラシをつくり、港北区役所をはじめ、菊名駅周辺の数カ所に置いて「菊名無料学習会」という名称で、子どもたちを集め始めましたが、最初の3カ月はまったく参加者が来ませんでした。置いたチラシもあまり減っておらず反応が薄いことに落ち込み「もうだめか、やめようかなと思った時に、たまたまチラシを見た小学校5年生の男の子が、母親に連れられて来てくれたのです」。最初の1人をきっかけに、少しずつ口コミで教室の存在が伝わり、子どもたちが来るようになってきました。

あわせて、松村さんは学習支援ボランティアを集め始めました。横浜市社会福祉協議会のウェブサイトに、情報を掲載したところ思った以上に反響がありました。メーカーに勤務している人が多く、IT企業や看護師など、ふだんは忙しい20代の若者たちからメールで次々と問い合わせがきました。

「月2回数時間子どもを教える」というわかりやすく、無理のないスケジュールは、忙しい若手社会人にも参加しやすかったようで、登録・参加メンバーは少しずつ増えていきます。2013年度には、地域の課題解決や住民のために自主的に行う団体活動を支援する「港北区地域のチカラ応援事業」スタートアップコースに採択され、実験用品や文房具など備品をそろえるとともに、この事業の参加を通して地域のさまざまな団体と知り合うことができました。

通常の活動は、第2・第4日曜日の午後、菊名コミュニティハウスで行っていますが、横浜市母子寡婦福祉会に協力して子どもたちの学習を支援することもあります。コミュニティハウスでには、小中学生が思い思いの時間に来てドリルや参考書を広げ、ボランティアメンバーと一緒に勉強に取り組む姿が見られます。「学校になじめない・家でなかなか勉強を見る余裕がないなど、ここに来る理由はさまざまだと思いますが、子どもたちが家庭以外に接する大人のロールモデルになるように努めたい」と松村さんは話します。

また、松村さんは子どもたちと接する若い世代について「ボランティアなのでお金は払っていません。けれど、誰かの役に立ちたい、地域でつながりを作りたいという人たちは思いのほか多くいることがわかりました。彼ら・彼女たちは意欲もあり、地域の課題にアンテナを張っています。そうした思いを、ボランティア活動などの参加につなげ、地域で生かしていく仕組みが必要でしょう」と、手応えを感じています。

ボランティアメンバーの1人、社会人4年目の男性は中堅IT企業でプログラマーとして働いています。2年ほど前に港北区に移り住み、独り暮らしを続けてきました。「会社と家の往復ばかりで、会社では同期がおらず年上の先輩ばかり。地域で同世代の人たちとなにか社会の役に立つことがしてみたかった」と、社協のウェブサイトでボランティアを探したそうです。

3年目に入る活動で取り組みたいことは、さまざまな地域団体との連携。夏休み中には、NPO法人「街カフェ大倉山ミエル」(鈴木智香子理事長)とともに、子ども向けイベント「大倉山キッズ」を開催し、水の浄化実験を行いました。「20代主体の私たちのような団体と子育て世代、さらにシニアの方々などがつながっていけば、地域全体が活性化するのではないでしょうか」とこれからの活動に意欲をみせています。
活動についての問い会わせは「菊名こども学習会」ウェブサイトまで。

ライター紹介

「LOCAL GOOD YOKOHAMA」は、 サービス、 モノ、 カネ、 ヒト、 情報の循環をつくっていくことを目指し、インターネット上の場と、インターネットを超えた地域の現場両面から、地域をよくする活動「地域のGOOD=ステキないいコト」に市民、企業が参加するきっかけをつくっていきます。活動に加わり、メンバーとして地域に関わっていくローカルグッドサポーター、プロボノを募集しています。

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