ローカルグッドニュース

横浜市大「UDCN 並木ラボ」でまちづくりカードゲーム体験講座

学生と地域をつなぐまちづくり拠点として、横浜市金沢区の臨海部に位置する「金沢センターシーサイドタウン」4号棟(横浜市金沢区並木1)に、横浜市立大学「UDCN 並木ラボ」(*1)(以下、並木ラボ)が開設されて約5カ月が経ちました。「並木の都市デザイン講座」の公開授業やまちあるきワークショップのほか、地域の方からの持ち込み企画による「環境にやさしい余熱料理教室」など、さまざまなイベントが行われています。
並木ラボ2金沢シーサイドタウンは、港北ニュータウンなどとともに、横浜市の都市整備戦略6大事業のひとつとして金沢区の埋め立て地に開発された郊外の住宅地です。金沢区の統計データ(*2)では、金沢シーサイドタウンが位置する並木1丁目~3丁目は約122ヘクタールの広さがあり、8,228世帯、1万9千人弱の人が暮らしているとなっています。1978年の入居開始からもうすぐ40年が経とうとしており、「急速な高齢化」という地域課題を抱えています。

並木ラボは、文部科学省が全国の地域再生・活性化の核となる大学を支援することを目的に2013年4月に募集した「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)(*3)」に選定された横浜市立大学の「環境未来都市構想推進を目的とした地域人材開発・拠点づくり事業」(*4)の活動拠点の一つで、超高齢化社会への対応など全国に先駆けたモデルとなるまちづくりを研究実践するCOC拠点として位置づけられています。

 

大学COC事業は、昨年全国から319件の応募があり、横浜市立大学の事業を含めて52件の事業が選定され、2013年度から最大5年間、毎年5800万円まで補助される取り組みです。

並木ラボは、COC拠点としてまちづくりに関する授業やワークショップを行うだけでなく、図書コーナーやキッチンコーナー、ノートパソコンの貸し出しスペース、赤ちゃんコーナーなどを備えていて、地域活動の集まりに使えるコミュニティスペースになっています。

この場所を活用した学生と地域住民の連携は、少しずつ進んでいます。例えば、7月4日に行われた「まちづくりカードゲームを体験してまちを活かすタネを考えよう講座」は、横浜市立大学まちづくりコース3年生の「まちづくり実習Ⅱ」の関連講座として、学生だけでなく地域住民も参加できるワークショップ形式で開催されました。

並木ラボ3内容は、首都大学東京(東京都八王子市南大沢1)准教授の饗庭伸(あいばしん)さんが、同大・大学院の「都市地域研究特論・演習」の授業で学生と開発したまちづくりカードゲーム「みんなでまちづくり!」を使って、ゲームを楽しみながら並木のまちづくりのアイデアを考え出す体験講座です。

当日は、横浜市立大学まちづくりコース3年生向けの「まちづくり実習Ⅱ」を受講している学生をはじめ、金沢シーサイドタウンの住民、地域の活動団体、横浜市金沢区の職員などさまざまな年齢と背景の参加者が20人以上集まり、混合チームを作って、まちづくりゲームを体験しました。

「みんなでまちづくり!」ゲームは、6人の参加者がサラリーマン・主婦・大学生・お年寄り・子供・外国人の6つのキャラクターのどれか1つを担当し、そのキャラクターになりきり、5枚の手持ちのカードに書かれたキーワードからまちづくりのアイデアを考えます。

並木ラボ5テーブル中央には、金沢シーサイドタウンの地図が広げられ、その周りに風景写真が並べられます。最初に「親」になった人は、自分が担当しているキャラクターになりきり「金沢シーサイドタウンはこうなったらいいな」を考え、イメージに合う写真を1枚選び、その写真を使ってメンバーに自分の考えているイメージを伝えます。

メンバーは、手持ちの5枚のカードに書かれたキーワードの1枚を使って、「親」のまちづくりのイメージを実現する方法を提案します。その場合は、それぞれが担当しているキャラクターの立場・視点でアイデアを発表します。
最後に、提案したアイデアの人気投票を行い、得点が多かった人に他のメンバーが手持ちのコインを渡します。親が一巡して一番コインを多く持っている人がこのゲームの勝者となります。

並木ラボ7饗庭さんからゲームルールの説明が終わると、参加者は4つのテーブルに別れてゲームを開始しました。良い提案が出ると自然と拍手が起こり、時折笑い声も聞こえます。

キャラクターになりきることで客観的な発言をする必要があることや、5枚の手持ちのキーワードからアイデアを考えるルールがあることから、「苦肉の策」が混じってはくるものの、普段は考えつかないような斬新な視点のアイデアが発表されていました。

「まちづくり実習Ⅱ」を担当する横浜市立大学国際総合科学部国際都市学系まちづくりコースの三輪律江准教授は、「今回は、学生のトレーニングも兼ねて実験的にまちづくりゲームを実施しました。学生も住民の方も楽しんで参加していたのを見て、このゲームがいろいろな人が集って話しをするきっかけ作りになることが分りました。こんなゲームの並木ヴァージョンを創りたいといった地元の声もありますし、今後も住民の方との対話の場づくりに、さまざまな仕掛けを活用していきたいですね」と話していました。

夏休み中の並木ラボでは、8月25日には「余熱調講座」、31日には家族で楽しめる映画上映会「今夜は並木でSHOW!」などの地域の方が参加できるイベントが予定されています。詳細は、並木ラボ(045-349-5665)まで。

 

(*1)UDCNはUrban Design Center Namikiの略。UDCとは持続的かつ実践的なまちづくりを推進するために、大学を基盤とした組織や民間企業が街に開く拠点の総称。

(*2)金沢区統計要覧2013-2014

http://www.city.yokohama.lg.jp/kanazawa/somu/tokeisenkyo/file/pdf/toukeiyouran2013-2014.pdf

(*3)文部科学省:平成25年度「地(知)の拠点整備事業」の選定状況について

http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kaikaku/coc/1337841.htm

(*4)横浜市立大学プレスリリース:文部科学省「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」に横浜市立大学の提案事業が採択されました!

http://www.yokohama-cu.ac.jp/univ/pr/press/130802.html

 

ライター紹介

LOCAL GOOD YOKOHAMAは、まちでコトをつくりたい、人とつながりたい、課題を解決したいと考えている市民のみなさんのICTプラットフォームコミュニティ。みんなが情報やコミュニケーションでつながり、人が集まることで何かがはじまる場をつくり、コミュニティや活動がこれからも続くキッカケをデザインします。まちの課題や問いに対して「自分ごと」として新たな一歩を踏み出し、まちの未来をより良くするアクションを 「LOCAL GOOD」と名づけました。 さまざまな地域課題に向き合う「ローカルグッドプレイヤー」とともに、共に考え、語り、取材をすることは、新たな視点や経験を得る貴重な体験です。取組を知り、現場でつながることは、おたがいの働く、学ぶ、暮らすを変えてゆくためのアイデアやアクションを生むためのイノベーションのヒントになります。地域のプレイヤーが悩み、チャレンジする現場に足を運び、声に耳を傾け、みなさんの得意や関心に併せた役割を見つけてください。自らを知る、変えるチャンスを提供します。誰もが参加して応援できるローカルグッドサポーターが、はじまっています。 https://yokohama.localgood.jp/about/ LOCAL GOOD YOKOHAMA 編集部へのお問い合わせやご意見、取材希望や情報提供はこちらにお願いいたします。 localgood@yokohamalab.jp 

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