2014.10.16
横浜市内各区で、地域のキーパーソンから見えるまちの課題と取り組みを聞き、交流を深めるイベント「ローカルグッドカフェ」が7月24日、スタートしました。 第1弾は、ことし(2014年)に区制20周年を迎える横浜市青葉区。横浜市と東急電鉄が協働で進める『次世代郊外まちづくりプロジェクト」で活性化しつつある東急田園都市線沿線たまプラーザ駅そばにできたばかりのコミュニティ拠点「3丁目カフェ」(同区美しが丘1)で開催されました。 2回にわたって、当日の対話をレポートします。 午後に開催された第1部、夕方から夜にかけて開催された第2部合わせて約50人が参加。子育てをしながら地域の情報発信に関わる女性、リタイアを間近に控え、地域に目を向け始めたサラリーマンの男性、「地域貢献」の志を生かした経営を目指す起業家ネットワークのメンバーらが、それぞれの立場から「いまの青葉区」について語りました。6月に横浜の課題と、それらの解決に取り組む地域の担い手を「見える化」することを目指したインターネットの情報基盤(ウェブサイト)「LOCAL GOOD YOKOHAMA」(ローカルグッドヨコハマ)がオープンしました。横浜市全域、あちこちで「地域課題の解決」に取り組む人たち、イベントを情報として紹介していくサイトですが、ネットでの発信とともに重視しているのが「実際に会い、対話をすること」。
この7月から、青葉区を皮切りに横浜のコミュニティカフェなどリアルな現場で「ローカルグッドカフェ」と題して各区で開催していくことになりました。青葉区は、戸塚区に次いで市内で2番目に広い面積(35.06平方キロメートル)で、人口も港北区に次いで2位。(308,456人)。平均年齢は42.3歳で都筑区に次いで市内2番目の若さで、区民の通勤(通学)先に東京都が締める割合は42.0%と「横浜都民」の割合が最も多くなっています。 こうした特徴を持つ青葉区で暮らすこと・働くこと、まちの状況ついて、ローカルグッドカフェでは1部・2部合わせて8人のスピーカーが話をしました。 第1部には、暮らす人自身が地域のエコを発信するメディア「森ノオト」編集長の北原まどかさん、NPO法人、地縁団体、大学などが共同でつくる有限責任事業組合「青葉まちづくり活性化協議会」(あおばフレンズ)で、実験的な住民サービスに取り組む政野祐一さん、「次世代郊外まちづくり」の「住民創発プロジェクト」から誕生した「3丁目カフェ」の大野承さん、20年以上にわたって青葉区と協働しながら区民の情報発信・交流をボランティアベースで支えてきた区民ポータルサイト「あおばみん」の千葉恭弘さんの4人が登場しました。 来月(8月)に第2子を出産予定の北原さんは、日々の暮らしの小さな行動から持続可能な社会の実現を目指そうと同じ30代、環境問題に敏感な女性たちをターゲットにした「森ノオト」を、自然素材を多用した建築を手がける地元工務店の協力を得て発刊しました。
当初は、読者も発信者も限定的で浸透に苦戦したそうです。 その状況が一変したのは、2011年3月の東日本大震災でした。青葉区は、市内でも「年少人口(0〜14歳)」が最も多く44,417人。つまり子育てまっただ中の「親」が一番多い区ともいえます。「東京電力福島第1発電所の事故によって、暮らし方を振り返り『このままでいいのだろうか』と思ったお母さんたちが動き始めるのを感じました」と北原さんは振り返ります。地域からのエネルギーシフトを目指したプロジェクト実施など、青葉区を中心とする子育て世代の女性たちの行動力・企画力に北原さんは、改めて驚いたそうです。 一方で、震災発生からまる3年が経つ今、関心が薄れてきたことも感じています。このため「未来の世代に思いやりある行動を選択する人を増やしていく」活動を持続していくために、北原さんは2013年に特定非営利活動法人「森ノオト」(青葉区つつじが丘11)を設立しました。横浜市北部のエコメデイアとして根付いてきたとともに、ライターには「少しではあるけれど、きちんと対価をお支払いするよう体制を整備しています」と、地域に仕事を生み出す「場」としても育ちつつあるようです。
「あおばフレンズ」(美しが丘1)の政野さんは、現役のサラリーマン。通勤生活も続けながら、2006年に仲間と共に「NPO、自治会・町内会、商店会、学校、企業、行政、社協」などさまざまなセクターを横断的につなぎ、ネットワークで地域課題を解決する仕組みを立ち上げ、2007年5月にLLPとして登記しました。 5年前に、たまプラーザ駅前通り商店会の協力を得て、地域の人たちが気軽に活動できる拠点として「レンタルスペース」を開設し、多様なセクターの人たちが足を運ぶ場所になっています。 事務局を置いている地元団体も多く、美しが丘ボランティアセンター(社会福祉協議会+連合自治会+東急電鉄ほかが運営)、防犯たまプラーザステーション(連合自治会+商店会+青パト隊+警察署+区役所などが営)、美しが丘一丁目南自治会事務局、横浜市青葉消防団第一分団第9班事務局、神奈川県減災サポート店、たまプラーザ駅前商店会連絡所、青葉ふれあいサロン(NPO法人関東シニアライフアドバイザー協会主催の高齢者のつどいの場)、ことばの教室メープル(学校生活に困難を抱えるこどもたちのための学びの場)など、たまプラーザ駅周辺の「地縁」がリアルに交わる場になっています。 あおばフレンズは、「次世代郊外まちづくり」の「住民創発プロジェクト」の1つを担っています。「地域雇用創出と街の安全安心」をテーマにしたこの活動は、ポスティングを「コミュニティビジネス」としてとらえています。配布活動をする人に歩数計をつけて健康づくりに役立ててもらいながら、お小遣いも稼ぐ。さらに街中の見守りも同時に行うなど「雇用創出/健康づくり/街の安全安心」の3つの目標達成を目指した企画です。 政野さんは「地域の課題を解決していくには、持続力とネットワークが必要です。今後は地域に必要とされる防災や介護事業をビジネスの手法で取り組んでいきたい」と話しています。 続いて登場した「あおばみん」のメンバー・千葉恭弘さんは、青葉区に住んで40年近く、リタイアしてすでに10年が経過したアクティブシニアです。現役時代にシステムエンジニアだった技術を生かして「あおばぱそこん横丁」メンバーとして2003年から、区民がパソコンを使って発信・表現するための手助けをしています。
青葉区民ポータルサイトは青葉区がサーバーをホスティングして、区民が運営するスタイル。千葉さんは、ホームページを開設している区内の市民団体などが約400にもなることに触れ、エネルギッシュな青葉区の地域活動を紹介しました。 さらに「今後は、現役時代にできなかったものづくりにチャレンジしたい。いま、中区にあるものづくり工房『ファブラボ関内』に通っていますが、これが楽しい。青葉にもそうした場ができたら」と、目を輝かせていました。
最後に登壇したのは、この日の会場となった「3丁目カフェ」の大野承さん。もともと「美しが丘3丁目」に住み、自宅近くに設けたかったが場所などの制約から「1丁目」に店を開くことになったエピソードを紹介し、場を和ませながら「地域のさまざまな人たちが集えるコミュニティーカフェ。こちらも、横浜市と東急電鉄が実施する「次世代郊外まちづくり」の「住民創発プロジェクト」から誕生しました。 「高齢者が人生の最後の一瞬まで、地域で充実して生きる」という願いを実現するには「まず、隣の人とつながる。そうすればいつかまちはつながって、お年寄りを地域で支えられる」と気づいて、大野さんは仲間3人とともにカフェ開設を決めたそうです。 ライブあり、グループの打ち合わせあり、バー営業ありの3丁目カフェ。犬の散歩をするお年寄りのたまり場として使ってもらうため午前5時から開店し「朝ビールも準備しますよ」との営業方針に、会場は沸いていました。 (レポートその1終わり)
LOCAL GOOD YOKOHAMAは、まちでコトをつくりたい、人とつながりたい、課題を解決したいと考えている市民のみなさんのICTプラットフォームコミュニティ。みんなが情報やコミュニケーションでつながり、人が集まることで何かがはじまる場をつくり、コミュニティや活動がこれからも続くキッカケをデザインします。まちの課題や問いに対して「自分ごと」として新たな一歩を踏み出し、まちの未来をより良くするアクションを 「LOCAL GOOD」と名づけました。 さまざまな地域課題に向き合う「ローカルグッドプレイヤー」とともに、共に考え、語り、取材をすることは、新たな視点や経験を得る貴重な体験です。取組を知り、現場でつながることは、おたがいの働く、学ぶ、暮らすを変えてゆくためのアイデアやアクションを生むためのイノベーションのヒントになります。地域のプレイヤーが悩み、チャレンジする現場に足を運び、声に耳を傾け、みなさんの得意や関心に併せた役割を見つけてください。自らを知る、変えるチャンスを提供します。誰もが参加して応援できるローカルグッドサポーターが、はじまっています。 https://yokohama.localgood.jp/about/ LOCAL GOOD YOKOHAMA 編集部へのお問い合わせやご意見、取材希望や情報提供はこちらにお願いいたします。 localgood@yokohamalab.jp