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黄金町の再生描く小説「横浜黄金町パフィー通り」

中区・黄金町に事務所を構える作家・阿川大樹(たいじゅ)さんが同町を舞台にまちづくりの様子を描いた長編小説「横浜黄金町パフィー通り」(徳間書店、税別1,500円)が、6月18日に発刊された。

出版記念パーティーでは阿川さん作曲の「地図をつくろう 黄金町の歌」が披露された

 2005年まで、257軒の「ちょんの間」と呼ばれる違法風俗店が建ち並んでいた黄金町・初音町・日ノ出町にかけての京浜急行高架下一帯。阿川さんは「今まで『アウトローな街』として映画や小説で便利に使われることが多かったが、本質ではない。自分では強くストーリーをかかげず、街の歴史をまっすぐ書こうと思った」という。

 阿川さんは、1954年東京生まれ。東大在学中に劇作家の野田秀樹さんらと劇団「夢の遊眠社」を旗揚げし、座付き作曲家として活動。米シリコンバレーでの半導体ベンチャー設立などを経て、1997年に作家に転身した。2009年から黄金町の長期レジデンスプログラムに参加しており、元ちょんの間の建物で執筆活動を行っている。「横浜黄金町パフィー通り」は9冊目の小説となる。

 物語の主人公は、黄金町に迷い込んだ女子高生。彼女や地域に従来から住む人々、新しく町に入ってきたアーティストの視点で、町を違法風俗から取り戻す経過を淡々と描く。「ヒーローがヤクザとどんぱちやって勝ち取ったのでもなく、町の人が地道に動いてきたから今がある。いずれはアーティストがいるのが当たり前になった、作品を作る場所としての町や、普通の暮らしを描きたい。今作はそのための準備かもしれない」と阿川さんは話す。

 8月1日に開幕するアート展「黄金町バザール 2014」では、初日のオープニングレセプションで小説のラストシーンを再現。阿川さん作曲の「地図をつくろう 黄金町の歌」を、地域の混声合唱団「コールなでしこ」が披露する。8月30日には、2007年にちょんの間に開店した「Bar The Outsiders」店主の佐藤新治さんとのトークイベント「ちょんの間から大岡川を見つづけて 2007-2014」を開催。また、会期中、小説の舞台を案内するまちあるきツアーや、「明るく楽しく美しい黄金町」をテーマにした写真展も行う。

ライター紹介

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