2018.01.09
※この記事は、NPO法人アクションポート横浜が実施している「NPOインターンシップ」に参加した大学生が取材と執筆を担当しています。この事業は、社会課題を解決する組織(NPO)の一員として、学生の成長と地域貢献に向き合うプログラムです。
2017年10月7日(土)~9日(月祝)にみなとみらいのグランモール公園(横浜市西区みなとみらい2丁目2-1)で「よこはま国際フェスタ2017」(主催:よこはま国際協力・国際交流プラットフォーム運営委員会)が行われました。国際協力や多文化共生に関わるNGO(非政府組織)など、3日間の合計で88団体が参加しました。
このイベントを運営するNPO法人「横浜NGOネットワーク」(神奈川県横浜市中区新港2丁目3−1)のエグゼクティブプロデューサーである小俣典之さんに、フェスタ事業を中心に、NGOネットワークの価値や役割、同法人の活動について話を聞きました。
よこはま国際フェスタとは、様々な国や地域の食や文化について楽しみながら学び、多文化共生や国際協力の活動につなげるためのイベントです。よこはま国際フェスタの始まりは、1997年の「NGOまつり」にあります。国際協力や多文化共生の動きを広めるため、「横浜国際協力まつり」「よこはま国際フェスタ」と名前を変えながら、20年にわたり活動を続けてきました。
横浜NGOネットワークでは、NGO単独では実現できない事柄を団体間の連携を促進することで実現することや、市民の国際協力への理解を深めることを支援してNGO団体を支援する役割をしています。
2017年にこれまでの「横浜NGO連絡会」という名称から「横浜NGOネットワーク」に名称が変わりました。主に横浜の国際協力や多文化共生、国際交流に関わるNPOやNGOをまとめ、団体間のつながりをつくるため活動しています。前身となる「横浜NGO連絡会」団体を設立したのは2001年。小俣さんは、「横浜国際まつりの際に団体同士の横のつながりが薄いと感じたことがきっかけだった」と設立理由について説明しました。
現在は組織強化の研修会を開催するなどして、間接的にNGOの活動を支援しています。よこはま国際フェスタを通して市民の国際協力についての理解を促進し、団体間だけではなく行政や市民とのつながりも作ることも大きな目的です。更に市民・草の根的な運動に加え、企業との連携を強化する活動にも力を入れています。
NGOネットワークでは、SDGsをNGO活動に生かして、組織強化につなげる講座なども企画しています。
YNNの設立当初は、同法人のようなネットワーク団体は数が少なく「継続できるのだろうか」との声があったそうです。「『女性支援・ラオス援助』など現場が遠く、具体的な活動が目に見えにくい。そのため、職員間の温度差やコンセプトの違いが生じやすく、そのズレを調整していくことも求められるのが課題の一つだ」と小俣さんは言います。
ネットワーク団体と言えば、個々の団体が抱える資金や人材不足問題の解決など「中間支援」の機能を求められることも多々あります。ただ、本来のYNNの重要な存在意義は「1団体だけではできない、大きな機関との交渉や政策提言を可能にすること」だと小俣さんは言います。活動を広げ、、社会課題の解決にむけ、さまざまなセクターの多くの人たちが「国際交流や多文化共生」に参加する基盤整備をしていくことを目指しています。
一方NPOやNGO全般での課題のひとつに、「高齢化に伴うNPO・NGOの終活」を挙げ、長く活動してきたNGOやNPOでは仕事が大きくなる一方で人手不足も問題になっていると、小俣さんは指摘しています。
NGO・NPOを「設立しよう・育成しよう」という動きは盛んですが、小俣さんは「いつまでも『育成される』ことを待ち、受身の態勢でいるのは望ましくありません」と、非営利組織の自立意識の向上を強調しています。
開催している「よこはま国際フェスタ」自体は3日間で終わってしまいますが、横浜NGOネットワークが重要だと考えているのは「その準備の段階から本場までに生まれた『新たなつながり=ネットワーク』」。これが、その後の各団体の活動や企業との連携、市民への啓発につながる重要な「資源」になります。
また、国連が提示し、日本でも本格的な取り組みが加速している「持続可能な開発のための目標」(SDGs)と、CSR(企業の社会的責任)活動促進という観点から、NGOと連携した取り組みに力を入れていきたいという企業も増加しています。よこはま国際フェスタでも今回クローズアップしたSDGs等をきっかけに、地域NGOと社会との関わりを増やしていく活動に力を入れていきたいと考えています。
古賀友梨香(慶應義塾大学・文学部)
チャリティ活動の一環としてではなく、自社のCSR活動を拡充するために「NGOと連携したい」という企業が予想以上にあることに驚きました。義務感にとらわれて活動するのではなく、このように互いのためになる形での活動が可能になれば、SDGs達成も含めた様々な取り組みの持続性を高められると思います。地域と社会の関係の在り方は変化していくものだということを改めて実感しました。
松本悠希乃(明治学院大学・心理学部)
近年は、昔に比べてNPO・NGOといった言葉や組織が身近になり、自分自身もそうであるように、興味を持つ・持っている人が増えていると感じます。その一方で、小俣さんの「人材が不足し、終活をしなければならない団体がある」という矛盾はいったいどこから来るのだろうと思いました。これには、いくつかの原因があるようです。
(1)NPOやNGOのイメージとして企業への就職と比較して「給料が低い」と思われがちなこと
(2)貧困地域支援など海外支援のイメージが持たれやすく「危ない」という印象を持たれやすいこと
(3)実地経験等、条件的にファーストキャリアでの就職がしにくいこと
−などが考えられます。こうした様々な視点から若い世代の参加が、イベントなどのボランティア以外で継続的に参加・活動しにくい状況につながっているのではないかと考えました。
「NPOやNGOによる途上国支援等の実践・知識は、震災や自然災害の多い日本においても大いに活用することができる」という小俣さんの言葉から気づいたことがあります。こうした海外支援が「ボランティアや、何かをしてあげる」という視点ではなく「日本に住んでいる私たち自身の問題として、国際協力や防災を考える」ことが理解してもらえたら、もっと幅広い世代の活動も活性化できるのではないかと感じました。
石栗まな(横浜市立大学・国際総合科学部)
NGOやNPO団体では担い手不足が課題となっていることから、団体間で連携をとることがより必要となっていることがわかりました。ネットワークづくりにより情報交換などを行うことで、連帯感や人とのつながりをつくることができます。そうすることで個々の団体ではできない活動を行うことができるのだと知ることができました。
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