2017.09.25
横浜市と東急電鉄が9月25日(月)、WISE Living Lab(横浜市青葉区美しが丘2-23-3)で、「次世代郊外まちづくり」の活動の一つとして、新しいまちづくりの手法として注目されつつある“リビングラボ”に関する勉強会を開催しました。
冒頭の挨拶で、横浜市建築局 住宅再生課の小宮山さんは、「地域の方々、さまざまな種類の企業な方々、大学、行政、東急電鉄の方などたくさんの方々に集まって頂いた。次世代郊外まちづくりが2012年に横浜市と東急が協定を結んで、住み続けたくなるような街をつくりたいと取り組みを進めてきた。このWISE living labは東急電鉄の土地にできた場。この場から新しく生み出されること、まちづくりに活かされることに期待している」と話しました。
今回は、WISE Living Labで開催する第1回目のリビングラボについての勉強会。「リビングラボとは何かをみんなで学ぶ」ということを目的に、株式会社富士通総研 経済研究所 上席主任研究員の西尾好司さんによる講演「リビングラボって何か知ろう」のほか、次世代郊外まちづくりの取組紹介、「リビングラボを知ろう!考えよう!」というテーマにした個人ワークの時間が設けられました。
建築局住宅再生課の長田さん
この地区では、持続可能な住宅地モデルプロジェクトを進めている。
青葉区たまプラーザ駅北側地区、緑区十日市場周辺地区、相鉄いずみの千沿線地区、磯子区洋光台駅周辺地区の4地区をモデルとして、横浜型の地域再生モデルを構築し、市内の他地域に展開していきたいと考えている。
2012年4月に協定を締結。美しが丘1・2・3丁目をモデル地区と定めて
美しが丘連合自治会の会長の辺見真智子さん。
ここ5年間の活動を続けてきたが、一般の住民になかなか浸透していかない。今日は地域から12人来ているが、。
新しいリビングラボという取り組みが地域住民から遊離しない活動になって欲しい。また、これまでまちづくりに関心がなかった方が新たに関わってくれるきっかけになることを期待したい」などと話しました。
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「リビングラボとは?」というタイトルで講演を行いました。
リビングラボは、「住民、個人・市民、企業、大学、行政、NPO・NGOなどの、さまざまな関係者が参加し、実際の生活や利用する環境を活用して、サービスや製品、政策を「共創する場」である。参加する住民は、サービスや製品の利用者(モニター)であると同時に、「共創のパートナー」の役割を担うところが、リビングラボの特徴であるとのことです。
欧米では「オープンイノベーション2.0」という考え方があります。社会の課題解決に向けて、企業・行政・大学・住民・市民が参加する共創の重要なツールとして、位置づけられている。アメリカの連邦政府の政策にもリビングラボが位置づけられている。
リビングラボの活動分野は、健康・医療、都市、ICTサービス、行政・地域などいろいろな領域で使われている。イタリアでは、長期入院の子ども用学習支援システムの開発、ドイツでは高齢者向け住宅、オランダでは認知症患者向けモバイルアプリの開発などの先行取り組み事例があるとのこと。
そのほかにも、企業内でスマートファクトリー(自社工場内)でのリビングラボなどの取り組みがある。
リビングラボは手法が共有されていないという現状がある。
リビングラボの主体で一番多いのは、大学、次は公的セクター、続いて政府、民間市民セクターよこはまという順番になっている。
その理由は、リビングラボは公的資金で運営される場合が多く、資金の受け皿になりやすいのが大学や公的セクターであるためと考えられる。
スペインバルセロナのLiblary Living Labの活動は、2000年代後半にバブルが崩壊し、バルセロナの子育て世代が多く住む地域で、新しい図書館を作る際に、地域支援の仕組みを考えたという経緯があるとのこと。バルセロナ市はこの取り組みを積極的に支援し、さまざまなデジタル機器を誰もが使えるようにするプログラムなどもあるという。
オーストリアのSchwechat市は、市全体をリビングラボにするという考え方で取り組んでいる。
リビングラボの進め方。リビングラボ利用者は、大きく分けると4つに分類される。
リビングラボの活動は、企画段階、探索段階、実験段階の3つのステップがあり、
リビングラボの課題としては、コンセプト通りの活動は難しく、実際の活動との間にはギャップがあることをあげました。
関心を持ってもらうことはできるが、コンセプトがわかりにくく、特定の一部の方のみならず、広く住民に実際に参加して頂くのが難しい。
ユーザー・市民側のインセンティブ、個人の参加モチベーションについては、地域・コミュニティなど自分たちの課題を解決するという意識を持つ。自分の考えを課題解決に活かすことができるなどがあげられる。
リビングラボの活動に接点が持てた市民も、参加の意味や価値が不明確になる、時間がなくなる、製品・サービスが自分に合わないなどの理由で、最後まで参加しないで活動からドロップアウトしてしまうことも多いといいます。
リビングラボへの参加目的として、企業側は、中小企業の場合、具体的なサービス開発を期待する。大企業は、共創手法や従業員の意識改革も重視するという傾向があるといいます。
中立的な立場の人が入り、ファシリテートすること。
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郊外住宅地でのLLの活動に向けて。
リビングラボで実施する、プロジェクトのテーマ、
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東京大学大学院の小泉秀樹教授は「共創というキーワードが一番大事なポイントではないか。共に創り上げていくこと。住民側がどれだけ主導性を持ってアクティブにかかわってもらえるようになるかどうかが、成功のポイントではないか。
たまプラの文脈だと、住民の多様な活動を元気づけたり、さまざまな活動どうしの協働を推進するような中間支援的な活動を、企業などの力を借りながら実施していくかというコトが大事だと思う。他の人にも役立つ商品やサービスをつくるのもリビングラボだが、地域の価値を高めていく活動を産み出していくという所をこのリビングラボで考え・実践していけたらと考えている。」と話した。
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LOCAL GOOD YOKOHAMAは、まちでコトをつくりたい、人とつながりたい、課題を解決したいと考えている市民のみなさんのICTプラットフォームコミュニティ。みんなが情報やコミュニケーションでつながり、人が集まることで何かがはじまる場をつくり、コミュニティや活動がこれからも続くキッカケをデザインします。まちの課題や問いに対して「自分ごと」として新たな一歩を踏み出し、まちの未来をより良くするアクションを 「LOCAL GOOD」と名づけました。 さまざまな地域課題に向き合う「ローカルグッドプレイヤー」とともに、共に考え、語り、取材をすることは、新たな視点や経験を得る貴重な体験です。取組を知り、現場でつながることは、おたがいの働く、学ぶ、暮らすを変えてゆくためのアイデアやアクションを生むためのイノベーションのヒントになります。地域のプレイヤーが悩み、チャレンジする現場に足を運び、声に耳を傾け、みなさんの得意や関心に併せた役割を見つけてください。自らを知る、変えるチャンスを提供します。誰もが参加して応援できるローカルグッドサポーターが、はじまっています。 https://yokohama.localgood.jp/about/ LOCAL GOOD YOKOHAMA 編集部へのお問い合わせやご意見、取材希望や情報提供はこちらにお願いいたします。 localgood@yokohamalab.jp