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STスポットで「障害福祉と文化芸術の関わりを考える勉強会」 カプカプ(旭区)の鈴木さんが講演

ダンスアーティストの新井英夫さん(右端)のワークショップで自由な動きを楽しむカプカプの利用者

認定NPO法人「STスポット横浜」(横浜市西区北幸1、小川智紀理事長)は9月20日から4回にわたり、STスポット横浜(同所横浜STビル地下1階)で「障害福祉と文化芸術の関わりを考える勉強会」を行います。

初回の9月20日は、旭区で地域作業所「カプカプ」を運営する所長の鈴木励滋さんを招き「作業所から見える風景、地域とつながる方法」について話を聞き、障害福祉と文化芸術の「よりよいあり方」について参加者がとともに考えました。

STスポット横浜は、今回の勉強会を神奈川県保険福祉局福祉部障害福祉課などと連携する「2017年度かながわボランタリー活動推進基金21/協働事業負担金『地域における障害者の文化芸術体験活動支援事業』」の一環として実施します。

今回の勉強会のゲストは、すべて「福祉と芸術」の2領域にまたがる活動を、日々現場で実践している方ばかりです。第1回ゲストの鈴木さんは、1997年から地域作業所「カプカプ」(横浜市旭区上白根町891)の所長を務め、その傍ら、演劇批評、障害とアートに関わる論考などを発表してきました。

2016年にはカプカプでの実践を記録し「近未来の横浜を先取りする『旭区・ひかりが丘』から、 社会の許容力を広げる”ゆるしゃば”を増やす」ことを目的とした本「ザツゼンに生きる〜障害福祉から世界を変える カプカプのつくりかた」を出版しました。

今回は、福祉の中でアートが語られることそのものについての考えや障害ある人との日々を1つの舞台として見立てたときに日々生まれるやりとり、地域と作業所とのつながりなどについて、鈴木さんから話を聞きました。

カプカプは、旭区にある大規模団地・ひかりが丘団地内にある「西ひかりが丘団地商店街」の一角で、「喫茶・カプカプ」を運営する「横浜市地域活動支援センター(障害者地域作業所型)」です。

利用者は主として身体・知的に障害を持ち、カフェでの接客やお菓子作りなどの仕事をしています。mた、月に1回、絵本作家・ミロコマチコさんや体奏家・新井英夫さんなどアーティストとともにワークショップを体験したり、手芸作品や絵画などを制作したりと、日々表現活動をしています。

障害福祉の現場とアートについて語る鈴木さん

障害福祉の現場とアートについて語る鈴木さん

鈴木さんは「アーティストと関わる時間を通して、萎縮していたからだや意識がやわらぎ『何を表現してもいいのだ』ということが許され、自分自身にも許すと、動きや表情が全く違ってきます」と、鈴木さんは写真を紹介しながら、カプカプ利用者とアートとの関わりについて説明しました。

さらに鈴木さんは、福祉の現場で「『こうあるべき』という姿に向かって訓練してしまうということがままあります。『みんな違って、みんないい』と言われる一方で『きちんとする・ちゃんとやらねば』でしんどくなってしまう人がたくさんいる」と、生産性や効率性という価値観で人を追い詰めていく社会のありようについて指摘しました。

また、パラリンピック・24時間テレビなどで、メディアが障害者に焦点を当てる状況について、鈴木さんは「今の世の中で許されている場・認められている価値観において頑張っている人が認められる。もちろん、頑張ること自体はいいことかもしれない。ただ、『感動もの』として消費する価値がない、その枠から逸脱する障害者についてはどうなのでしょう?ここにも『今の世の中の役に立つかどうか?』という価値観が蔓延しているのではないでしょうか?」と疑問を投げかけた。

そして「関係性・わくぐみ・生きづらさを揺さぶる価値観を、福祉の現場からいかに提示していけるのかという問いを考えた時、価値観を組み替えるのはアートが得意とするところではないか?」と問いかけていました。

鈴木さんは、世界のあり方を「閉じていく」「開いていく」と、対比して提示しました。

鈴木さんは、世界のあり方を「閉じていく」「開いていく」と、対比して提示しました。

この「地域における障害者の文化芸術体験活動支援事業」は、地域に暮らす障害者が、文化芸術体験活動を通してそれぞれの暮らしの質を高め、固有の存在として地域社会の中で認められることを通じ、障害の有無にかかわらず「共生する社会の実現」に向けた基盤整備の一翼を担うことを目的としています。

県内の障害福祉サービス事業所等に芸術家を派遣し、施設の希望に応じて演劇やダンス、音楽等、広範な文化芸術体験を実施する「ワークショップ事業」、文化施設職員を中心にワークショップ事業の成果の共有や養成講座を実施し、障害者の文化芸術体験活動を支援するコーディネーターを増やし、県内のネットワーク構築を目指す「コーディネーター育成事業」、神奈川県内の障害者の文化芸術体験活動の事例を収集する「調査研究事業」の3つが活動の軸となっています。

理事長の小川さんはこの事業について「神奈川県内の文化施設・アーティストと障害福祉や介護事業者などをマッチングするプラットフォームづくりを目指しています。今回の講座には、多くの舞台・施設関係者、運営者の方々に参加してほしいですね」と話していました。

今後の予定は以下の通り。参加費は各回500円、定員は各20人。問い合わせ・申し込みは同法人地域連携事業部。

Mail:community@stspot.jp
電話: 045-325-0410

ゲストプロフィールなど詳細はウェブサイトで。

▽第2回 障害のある人たちの日々の生活に触れる

日時:10月18日(水)19時~20時30分
会場:地域活動支援センターひふみ(横浜市神奈川区六角橋6-2-13)
ゲスト:中村 麻美(地域活動支援センター ひふみ 施設長)

▽第3回 みんなが楽しめる美術館って?

日時:11月16日(木)13時30分~15時30分
会場:横須賀美術館(横須賀市鴨居4-1)
ゲスト:立浪 佐和子(横須賀美術館 学芸員)

※別途所蔵品観覧料310 円がかかります。

▽第4回 舞台と観客の関係づくり~舞台手話通訳の現在

日時:11月29日(水)19時~20時30分
会場:STスポット(横浜市西区北幸1-11-15 横浜STビルB1)
ゲスト:米内山 陽子(劇作家 演出家 舞台手話通訳)

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