ローカルグッドニュース

「食」を軸に地域がつながるこども食堂、横浜のネットワーク準備会に90人参加

飲食店経営者やNPO、行政など多様なメンバーが1つのテーブルで食を中心にこどもと地域をつなぐ場作りについて話し合った。

こども一人でも来ることができ、大勢でごはんを作り、食べる楽しさと地域のつながりを提供する場・「こども食堂」の取り組みが横浜市内でもじわじわと広がっています。この活動に関心ある市民、福祉関係者ら約90人が集まって4月13日夜、横浜市健康福祉総合センター(神奈川県横浜市中区桜木町1丁目1)で「横浜こども食堂ネットワーク準備会」が開催されました。

すでに先行実施している実践者4人の報告の後に行われた地域別作戦会議では、「子どもを中心にしたつながりの再構築」について「自分のできること」を模索する参加者から熱を帯びた発言が相次ぎました。

「こども食堂」は、東京都大田区の「気まぐれ八百屋だんだん」(近藤博子店主)、東京都豊島区で活動するNPO法人「豊島WAKUWAKUネットワーク」(栗林知絵子理事長)が、2012年ごろから始めた活動です。「菓子パンやバナナ1本の”夕飯”を子どもだけで食べている家庭がある」という状況に心を痛め「地域で子どもを育てていこう」という大人たちが集まり、出来ることを持ち寄る支え合い方式で続けられ、その活動は全国に広がっています。

横浜こども食堂ネットワーク準備会のグループディスカッションでは、今後地域でこども食堂を実践したいと考える市民が、熱心に意見を交換した。

横浜こども食堂ネットワーク準備会のグループディスカッションでは、今後地域でこども食堂を実践したいと考える市民が、熱心に意見を交換した。

横浜市が、0歳から24歳未満(2015年4月1日現在)の子ども・若者がいる世帯のうち 6,000 世帯を対象にして実施した市民アンケートによると、市内で「貧困線」を下回る水準で生活する子どもの割合は 7.7%、およそ 4万4千人と推定されています。

また「子どもがいる現役世帯のうち大人が1人の世帯の貧困率」は 45.9%、「子どもがいる現役世帯のうちひとり親世帯の貧困率 」は 45.6%で、本市に暮らすひとり親世帯のおよそ半分が国の貧困線を下回る厳しい水準で生活していることが、改めて把握されました。

同調査によると「過去1年間に、お金が足りなくて、必要とする食料が買えないことがありましたか」という問いに対し「まったくなかった」が 82.3%と大部分を占めるものの「よくあった」が 0.6%、「ときどきあった」が 4.0%と、一定割合でそのような状況が発生している世帯があることが確認されています。

さらに、調査結果によれば回答者属性・世帯類型別にみると、ひとり親世帯に該当する場合に「よくあった」が2.6%、「ときどきあった」が 14.0%と、比較的その割合が高くなっていました。

▽「横浜市子どもの貧困対策に関する計画(仮称)」第2章「本市の子どもの貧困に関する状況」
http://www.city.yokohama.lg.jp/kodomo/action/plan/file/2015/zentaiban-dai2shou.pdf

こうした状況を体感している各地域の市民・支援者から「自分のまちでもこども食堂を開きたい」という動きが相次いでいることを受け、ソーシャルワーカーや子育て支援専門家、コミュニティカフェ運営者ら有志が、知恵や情報・食材などを共有し、こどもと地域にとってよりよい「居場所」をつくろうと今回、「ネットワーク準備会」を企画しました。

平日夜にもかかわらず、横浜全域からスタッフを含め約90人が集まった。

平日夜にもかかわらず、横浜全域からスタッフを含め約90人が集まった。

まず、会の前半の実践報告では、タイプの異なる4団体が実現までの経緯や特色を紹介しました。 2015年2月から「ナナ食堂」を始めたNPO法人「スペースナナ」(横浜市青葉区あざみ野1)は「コミュニティカフェ」型。理事長の柴田暁子さんは、あえて「こども食堂」とは名付けず「誰かとごはんを食べたいなと思った人なら、誰でも来られる場」というコンセプトを大切にしています。

毎月2回、第2土曜日は午後5時から、第4土曜は午後0時半から開催しており、この場を13人のボランティアスタッフがサポートしています。大人と子どもの割合は毎回まちまちだが、合計20人ー30人が一緒に食事を楽しんでいます。

2016年4月7日に第1回「駒岡丘の上こども食堂」を実施したばかりの駒岡地区センター(鶴見区駒岡4)は「公的施設型」です。2015年夏に指定管理者プロポーザルに自主事業提案として「こども食堂」を提案し、採択されました。新年度となる4月からセンター調理室を使い、コストをかけずに運営することができることが特徴です。

計画を進めてきた館長の七田直樹さんは、行政とのやりとり・手続きやボランティア・食材の集め方、子どもの安全に関する意識喚起など、半年にわたった準備期間についてポイントを絞って説明しました。そのうえで「市内に約80カ所ある地区センターが、自主事業の一環としてこの取り組みを行えば、かなりの子どもたちにつながることができます」と、こども食堂の「公的拠点モデル」の有効性を強調していました。

3番目に報告をしたのは、「駒岡丘の上こども食堂」のすぐ近くにある「リカバリータイムズこども食堂」(鶴見区駒岡5)を運営する石田輝樹さん。理学療法士の石田さんは、歩行リハビリ特化型のデイサービス事業所を運営する株式会社「リカバリータイムズ」の代表取締役です。 石田さんは2016年1月から開始。営業許可を取り、小学生のみを対象とし、定員は10人。家族ら3人だけでこじんまりと始めました。通学路でもある店頭に看板と小学校4年生の娘さんがつくった手作りチラシを置いて道行く小学生にアピールして集客に努めたそうです。

石田さんは、アレルギーの登録、帰宅時のお迎えを「必須」とするなど何よりも「安全」を重視しています。また、小学校の先生たちとも定期的に連絡を取り合い、子どもたちの様子から気づいたことを伝える努力を重ねています。「大きく始めなくてもいい。私たちのようにたった3人でもできてしまいます。学校でも家でもない、こんな小さな居場所がまちのあちこちにあることで、子どもたちはほっとできるし、子どもを通して地域もつながる」と、呼びかけていました。

事例報告の最後は「こども食堂にこにこ広場」の実践が報告されました。こちらは自治会・地域立ち上げ型です。浅間台地域ケアプラザ、西区社会福祉協議会、横浜市西区第6地区子どもの居場所作り検討委員会が連携して企画しています。

この地区では、西区地域福祉保健計画を策定していくプロセスで、乳幼児〜小学生中学年児童の支援についてはある程度関心もネットワークも形成されてきたそうです。一方で、子どもたちが小学生高学年、中学生になると地域からその姿が見えにくくなり、子どもたちのSOSを見逃してしまうことが、地域で懸念されるようになりました。そうした子どもたちとつながる場所をつくろうと、2015年秋に第6地区子育て連絡会、浅間台地域ケアプラザ、民生委員、西区社会福祉協議会などで「子どもの居場所作り検討委員会」を立ち上げ、こども食堂を開催することにしたそうです。

課題は予算です。地域の寄り合い、自治会長の集まる会合で寄付を募って集めた約5万円をもとに、1回12,000円〜15,000円分の食材を調達し、大人の参加者からはわずかだが参加費を徴収して、目減りを補填しています。 伊藤さんは「横浜駅にほど近い地区ということで、経済的貧困は少ないかもしれませんが、孤食などで寂しさを感じる”こころの貧困”はあるかもしれない。子どもたちが気兼ねなく遊んだり、ごはんを食べたりワイワイできる居場所にできたら」と話していました。

地域別作戦会議では、どうしたら地域で子どもたちを見守り、育てられるのか、熱心な発言が相次いだ。

地域別作戦会議では、どうしたら地域で子どもたちを見守り、育てられるのか、熱心な発言が相次いだ。

事例紹介の後は、横浜市を4方面・11グループに分け、地域別にこども食堂の取り組みについて自由に対話を重ねました。「こども食堂=貧困対策というイメージがあると、子どもは来ない。だれでも来られる場として運営した方がよい」「本当にこうした支援が必要な子どもに、こども食堂の情報が届いているのだろうか。必要な子どもを招待し、食事をしてもらう仕組みなどは考えられないか」など、各グループでは活発にアイデアや意見が交換されました。

この準備会を企画したメンバーの1人、米田佐知子さん(子どもの未来サポートオフィス代表)は「これから数カ月で、さらに複数の食堂がスタートする予定です。メーリングリストやフェイスブックページを立ち上げ、知恵や情報共有を進めゆるやかなネットワークを築いていきたい。さらに、小エリアや既存の子ども支援団体との意見交換など、今後の取り組みも話し合っていく場に育てていけたら」と話しています。

今後の予定など、詳細はFacebookページ「横浜こども食堂ネットワーク準備会」で更新する方針です。

ライター紹介

「LOCAL GOOD YOKOHAMA」は、 サービス、 モノ、 カネ、 ヒト、 情報の循環をつくっていくことを目指し、インターネット上の場と、インターネットを超えた地域の現場両面から、地域をよくする活動「地域のGOOD=ステキないいコト」に市民、企業が参加するきっかけをつくっていきます。活動に加わり、メンバーとして地域に関わっていくローカルグッドサポーター、プロボノを募集しています。

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