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【EVENT REPORT】11/2 World Living Lab DAY1)パラレルキャリア:新しい働きかたを創るリビングラボ を開催しました

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11/2 World Living Lab = レジリエントで持続可能な都市・横浜を目指して DAY1)パラレルキャリア:新しい働きかたを創るリビングラボ 「一人ひとりが、個性と多様性を尊重され、それぞれの能力を発揮できる地域社会を築く~寿地区医療介護福祉関係者感染症対策Zoom会議と寿DIYの会、ことぶき協働スペースの取組から~」

 

DAY1)パラレルキャリア:新しい働きかたを創るリビングラボ

新型コロナウイルス感染拡大防止に、世界が動き始めて、9か月が過ぎました。横浜では、コロナ禍を乗り越える公民連携プラットフォーム「おたがいハマ」が起動し、ポストコロナ時代の新しい可能性について、市域のリビングラボに関わる企業やNPOとともに対話の場を創ってきました。
「ワールドリビングラボ」7日間の企画は、市内各地の取組を基軸に、危機に直面してもしなやかに対応できる都市づくりの具体的な事例を学ぶものです。その初日が寿地区からの取組紹介です。オンライン上で、医療者・介護事業者・福祉作業所との連携、また住民参加によるコロナ感染対策がどのように進められたかを紹介しました。

基調講演◆ 価値観の変化や社会の実像をデータで捉え直して見えてくるもの

語り手:大阪市立大学大学院准教授 五石 敬路さん

取組紹介の前に、寿地区とも関わりのある「生活困窮者支援」の研究者、大阪市立大学大学院の五石敬路准教授が、「市民生活に根差したデータ活用により生活困窮者の包括的支援」をテーマに講演しました。

五石 敬路さんによる講演

すべての人に及ぶ人生のリスク(病気や事故や失業など)を減らしていくための社会改革には、従来の価値観の枠を超えて、所得保障と働く場の創出、効率化で生まれる支援政策の拡充など、経済や働き方の観点から、また官民協働や各セクターの共創の視点から、ICT活用を含めた多様な価値観を活かしていくことの重要性が語られました。
お話の中で、日本において障害手当を受けている人の割合が、世界各国の中でも極端に少なく、その要因として障害の定義が狭いこと、日本では障害のボーダー層で生きづらさや働く困難を抱える人が多いことが示されました。福祉政策においても基準が重視され自己決定権が保障されにくい状況や、支援する側の過労実態を示す統計データから、生きづらさを生んでいる社会環境が示されました。価値観の変化に対応した雇用のあり方や循環経済の仕組みづくりについて考えることができました。

トークセッション◆ 寿地区での取り組み

語り手:「ことぶき共同診療所」院長  鈴木伸さん
「NPO法人ことぶき介護」管理者   梅田達也さん
「NPO法人寿クリーンセンター」生活支援員  鶴見福司さん
「横浜市ことぶき協働スペース」施設長  徳永 緑

トークセッションでは、横浜市寿町でのコロナ対応の取組が始まった経緯、そこで得られた協力関係や今後の展望が語られました。

新型コロナから寿地区を守る活動の始まりと取組の工夫
最初に、ことぶき共同診療所の鈴木院長から、高齢者や要介護の方、孤立しやすい人が多い寿地区で、コロナ感染が生じた場合の危機感を念頭に住民とともに介護者を支える学習会がスタートとなったこと、三密回避のためZOOMを活用したオンラインの継続開催が実現した経緯が語られました。ZOOM会議では、予防と対応を軸に情報交換と事例検討を重ね、また、住民の感染対策の実態を知るためのアンケート調査を実施したこと、現場対応に追われる医療者・介護者に代行してことぶき協働スペースがアンケート素案作成から簡易宿泊所等への訪問や集計作業を分担したことによる協働の成果も示されました。

ZOOM会議のメンバーによるトークセッション

ZOOM会議から立ち上がった「寿DIYの会」を運営する寿クリーンセンターの生活支援員、鶴見さんからは、感染防止の実際に役立つ防護ガウンの製作について紹介されました。コロナ禍の中、作業所での仕事が減っている状況を踏まえた取組、また地区住民の参加による生きがいづくりや就労事業の一環となった仕組みは、まさに地域循環型の雇用の創出につながった事例です。医療や介護の現場で役立つ品質の高さを維持しつつ簡単に作れる工夫とともに、最低賃金を目指す働き手にとっての好循環が考えられたものでした。働く対価をどう生み出すか、そこで機能したのが、「おたがいハマ」による助成金獲得や寄付の仕組みでしたが、今後も継続した取組になるよう、「寿DIYの会」のビジョンやミッションを社会に発信し、連携の幅を広げていきたいとの意気込みも語られました。

「医療介護関係者等感染対策交流ZOOM会議」の発起人でもあることぶき介護の梅田さんは、寿地区の介護現場での感染防止対応を個別に、また包括して見守っておられます。寿地区住民それぞれの暮らしのスタイルや魅力に惹かれてきた梅田さんが大切にしているのは、介護の現場やその人それぞれの背景の多様性を尊重すること。その人らしさを活かす介護のあり方から寿の人に学ぶ面白さがうまれてくること。ZOOM会議に集まるそれぞれの立場の人との出会いも、現場での多様性につながる「あそび」の部分を教えてくれる面白さがあったと語られました。毎回のZOOM会議は、梅田さんが進行をと務めておられますが、常に自然体を貫かれる梅田さんのお力で、この会議が支えられているのを改めて感じました。

ZOOM会議の事務局的機能を務めてきたことぶき協働スペースからは、施設長の徳永が、医療や介護を支える現場では制約される実務対応など中間支援的な側面についてお話ししました。具体的には、課題整理につながる記録作成、当事者ニーズの把握を目指したアンケート調査の実働、協働の場面づくりの機能です。アンケート調査は介護事業者向けと簡易宿泊所向けを実施しましたが、地域の厚い信頼を得ている鈴木院長や梅田さんとの連携に支えられ、まちの方々と顔の見える関係が築かれ、約9割の高い回答率の集計をまとめることができました。この継続した関係づくりがまち全体の感染防止への啓発につながった面もあると感じています。

寿地区の大切なものを活動の原点にして

ことぶき共同診療所創設の理念として、先代から受け継いだ鈴木院長より、病気の治療だけではなく、治療後も自信をもてる場の必要性が語られました。仕事を通して地域や社会に役割を果たすこともそうした場の一つです。鈴木院長からは、寿クリーンセンターで始まった簡易宿泊所から簡易宿泊所への引っ越しのニーズ対応が、地区外の業者対応ができない状況から発案された地域循環型就労の始まりでもあったことが紹介されました。

この寿クリーンセンターでの業務と併行して「寿DIYの会」で新たな地域循環型就労のアイデアを生み出した鶴見さんからも、まちの消毒隊の活動とともに、認知症の症状のある簡宿入居者をめぐるみんなの安心(ご本人・帳場さん・ヘルパーさん)につながる缶バッジ製作や、パソコンの解体ニーズに対応した仕事など、このまちの環境や暮らす人々の得意を活かした人材発掘への試みが語られました。

ことぶき介護の梅田さんは、寿地区の特性でもある多様な団体相互の関係性、「半分仲良く、半分緊張感あり」の中でこそ築かれる支え合いがあり、ZOOM会議の中でも各団体や行政との関わりの中で交流が深められたことの意義が示されました。

多様な主体の協働を目指すことぶき協働スペースからは、「寿DIYの会」との連携のおかげで寿地区の住民に感染拡大防止に役立ちたい思いとその推進力があること、防護製作において職人としての誇りや創意工夫を引き出す場となった喜びを伝えることができました。また、住民を含めて誰もが課題解決の当事者になれる、それが参加と協働のまちづくりにつながっていく実感を伝えることができました。

ZOOM会議のメンバー
ZOOM会議のメンバーも含めたトークセッション

ポストコロナ時代の共創

横浜市共創推進課が各地域の担い手とともに推進しているリビングラボの取組は多様に展開していますが、その一つの取組として都筑区のリビングラボの状況を代表の鈴木仁さんが飛び入りで説明しました。鈴木さんは、前半の基調講演で語られた所得保障の課題、その背景にある、生きづらさを抱えた人が社会で活躍できる場の創出についての共感を語られ、障害のあるなしに関わらず、多様な立場や職種の人が力を合せ、仕事の幅を広げられる試みについて都筑リビングラボでの取組と併せて紹介されました。

続けてことぶき協働スペースから、危機に向かいあう「連携の力」について、地区内の連携が地区外の団体との連携、風に立つライオンやジャパンハートの専門的知見の協力につながったこと、また、ワールドリビングラボによる横浜各地の取組情報を相互に学びあう場面が新たな連携の力を生み出す可能性に期待を込めました。さらに「寿DIYの会」がこれまでつないできた多様な機関との連携を基盤に、地域循環型のアイデアを生み出す姿勢に敬意を表し、寿地区からの連携の力の発信源として、相互に頑張っていきたいと伝えました。

「DIYの会」の鶴見さんは、これまでこのまちに助けられたからこそ今のご自分があるとの話から、信頼する地域の方ととともに活動の輪を広げていくこと、新しい雇用創出につないでいくこと、その具体的な方法を発掘しながらさらに人との関係性を広げていきたいとの思いが語られました。

どんな時も平常心で柔らかな笑顔を絶やさないことぶき介護の梅田さんは、多様な人材の交流から生まれる面白さを、コロナ禍や災害時においてもつないでいく視点が示されました。共に関われてよかったと思える、意見が異なっても緊張関係を楽しめる、そんな寿の自由さの中で遊びの感覚も大切に関係性を継続していきたいと語られました。

最後に、鈴木院長から、寿地区のコロナ感染状況について、散発はしているもののクラスターは発生していないこと、今後も継続して情報を共有し、関係機関とともに対応する展望が語られました。また、感染症対策や危機対応において、「現場+α」の重要性に気づかされたこと、中間支援という事務的なことや複雑な対応をカバーする「+α」の外部的存在の貴重さに言及してくださいました。

この対話の全体を進行されたのは、「おたがいハマ」を主催する横浜市共創推進課の関口昌幸さん。関口さんは、寿地区での豊富な活動経験をもとに、各登壇者の対話を巧みにつながれ、ワールドリビングラボの初日に寿地区の取組を選んだ熱い思いとともに、これからの寿地区での活動やことぶき協働スペースの取組への期待で対話を盛り上げてくださいました。
また、オンライン上の機器の手配を采配した「おたがいハマ」主催者でもあり、ことぶき協働スペース運営団体(横浜コミュニティデザイン・ラボ)代表の杉浦が、本プログラム全体の7日間にわたる国際的な対話企画の紹介とともに、「おたがいハマ」の活動実績について説明し、明日以降のプログラムへの期待につないで、「DAY1」のすべてを終了しました。

 

ことぶき協働スペース
ウェブサイトから転載
https://kotobuki.space/?p=4229

ライター紹介

編集者、クリエイティブ・ディレクター、地図制作者。デザインチームSUMOGREE主宰。公共の福祉や人権への関心から、ことぶき協働スペース(NPO法人コミュニティデザイン・ラボ)スタッフに。YADOKARI株式会社やCircular Yokohama編集部(株式会社ハーチ)に参画。横浜トリエンナーレ2020に「刷音」で参加。地域活動に横須賀市汐入宮元青年会総務、川崎中島広報企画室副代表を務める。新型コロナウイルスに向き合う公民連携プラットフォーム「 #おたがいハマ」ではよくしゃべる縁の下の力持ちを目指して奔走。

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