ローカルグッドニュース

金沢区の地域循環型プロジェクト「金澤八味」唐辛子の回収イベントレポート

2020年9月2日、横浜市立瀬ヶ崎小学校にて地域産品「金澤八味」作りの第一歩となる活動が行われました。当日は、各家庭で収穫した唐辛子を持ち寄り、唐辛子栽培を通して感じたことやプロジェクトの展望をシェアしました。本記事では、集まった人々の感想を交えて活動の模様をお届けします。

SDGsをテーマに取り組むSDGs横浜金澤リビングラボについて

「金澤八味」のプロジェクトに主体となって取り組むSDGs横浜金澤リビングラボは、横浜市内に6箇所設置されている(2020年9月現在)リビングラボの一つです。リビングラボとは、市民や企業、NPO、行政、大学など立場を超えた様々な人や団体が集まって、地域課題の解決につながる新たなモノやサービスを生み出す場所です。市民が主体となったオープンイノベーションの拠点として、横浜のみならず各地で注目を集めています。

SDGs金澤リビングラボの奥井奈都美さんと永島太一郎さん

SDGs横浜金澤リビングラボは金沢区を拠点とするリビングラボで、廃棄物の再利用や様々な地域産品づくりなど、SDGsをテーマに産官学の連携を進めています。

地域の人と、地域の原材料を使って作られる「金澤八味」

「金澤八味」は、廃棄予定のアマモ(海中に根をはり育つ海草)を肥料として活用し、地元農園や小学校で唐辛子などの野菜を栽培、地域発の産品をつくる循環型プロジェクトで、SDGs横浜金澤リビングラボが主体となって取り組んでいます。「金澤八味」 は唐辛子と8種類の素材から作られ、地名「金沢八景」にちなんで名付けられました。

この八味の製造はSDGs横浜金澤リビングラボを中心に地域参加型のプロジェクトとなっており、原材料となる唐辛子やシソの栽培を地元の農園や小学校、福祉施設の協力のもと行っています。また、その栽培に金沢区内の湾岸で大量発生し問題となっているアマモやアオサを肥料として活用するなど、地域循環を大切に取り組んでいます。

地域産品「金澤八味」

今回唐辛子の回収が行われた瀬ヶ崎小学校ではプロジェクトを開始した2019年度より、桐山智(きりやま・とも)教諭(以下、桐山先生)と共に児童たちが主体となって栽培や販売に参加しています。

桐山先生「瀬ヶ崎小学校では2019年度、当時の6年生の総合学習の活動として、地域と連携した取り組みに挑戦できないかと検討していました。そんな時、SDGs横浜金澤リビングラボの代表今村 美幸(いまむら・よしゆき)さんと出会い、金澤八味の製造に関わることとなりました。プロジェクト開始当初は、学校の裏山で児童たちと唐辛子とシソを栽培し、原材料として提供するところまでが瀬ヶ崎小学校の役割でした。しかし活動をしていくなかで、生徒たちから『製品のラベルのデザインをしてみたい』や『出来上がった製品の販売をしてみたい』といった声が上がり、最終的に販売会を行うところまで担当しました。」

唐辛子栽培がもたらす外出自粛時の小さな楽しみ

2020年度に入ると、新型コロナウイルスの影響で学校も臨時閉鎖を余儀なくされました。それでも金澤八味のプロジェクトを継続したいという児童・生徒からの声を受け、今年度は外出自粛期間を使って、各家庭で唐辛子の栽培に挑戦しました。

桐山先生「2019年度に活動の主体となった6年生の児童たちは、中学校へ進学しました。小学校を卒業しても、金澤八味のプロジェクトに携わりたいと声を上げ、今回は彼らの進学先の中学校とも連携をし、プロジェクトへの継続的な参加を実現しました。」

2020年の金澤八味のプロジェクトでは、横浜に本社を置くサカタのタネ株式会社とえんちゃん農場から唐辛子の苗の寄贈を受け、地元の農園アマンダリーナファームや瀬ヶ崎小学校、六浦中学校、金沢養護学校で手分けをして栽培しています。

イベント当日に回収された、たくさんの唐辛子

今年も継続して唐辛子の栽培に協力している中学生の皆さんにもお話を伺いました。

Aさん「外出自粛期間で生活のリズムが崩れやすいなか、毎日朝と夕方に水やりをしていました。唐辛子の水やりを習慣化することでメリハリのある毎日を送ることができました。」
Bさん「コロナ禍での栽培だったこともあり、衛生面はいつも以上に気をつけました。唐辛子の水やりや収穫の前にはきちんと手を洗うことを徹底しました。」
Cさん「今年は家の庭に小さなプランターを置いて育てたため、学校の裏山で育てた時より収穫量は少なくなりました。ただ、枯れるものは少なく効率よく栽培できたと感じています。」

イベントのために集まった、2019年度瀬ヶ崎小学校6年生の子どもたち

また、子どもたちと共に唐辛子の栽培に取り組んだ保護者の方々からも前向きな意見を多く聞くことができました。

保護者Aさん「コロナ禍で外出自粛が求めらるなか、唐辛子を家族で協力してお世話する時間が、暮らしの楽しみになっていました。家庭内でのコミュニケーションのきっかけにもなりました。」
保護者Bさん「家庭に配られた唐辛子は3種類のなかからランダムに配布されたため、自分がどの種類の唐辛子を育てているのかを予想したり、他の家庭の唐辛子と成長過程を比較したりしながら栽培するのが楽しかったです。桐山先生と有志の保護者でチャットグループを作って、唐辛子栽培の進捗を報告しあったり、うまくいかない点を相談しあったりしていました。直接会うことはできなくても、みんなで団結して一つのプロジェクトに取り組むことができました。」
保護者Cさん「唐辛子の栽培は比較的簡単で、子どもが積極的に取り組んでいました。また、唐辛子栽培に協力した先に商品となって還元されるところが嬉しいポイントです。実際に製品となった金澤八味はとても美味しく、食卓では家族みんなに好評です。」

いまでは小学生も学んでいる「SDGs」の模範となる取り組み

2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」であるSDGs。この金澤八味プロジェクトは、まさにSDGsが掲げるサステナブルな取り組みの模範となる例の一つです。

桐山先生「SDGsやサーキュラーエコノミーといった専門的な言葉は児童にとって難しく聞こえるかもしれません。しかし、実はそれらの概念自体は非常にわかりやすく体系的なもので、日常生活との結びつきも強いです。子どもたちには、金澤八味プロジェクトへの参加を通じて、SDGsやサーキュラーエコノミーの概念を言葉で理性的に理解しようとするだけではなく、日々の暮らしの中で感覚的に理解できるようになって欲しいです。これからの時代を生きる子供たちが、将来専門的な言葉をよく耳にするようになった時に、『あの時に学校で学んだことだ』と思い出してもらえたら嬉しいと思っています。」

イベント当日、子どもたちが書いた金沢区の未来に向けたメッセージ

取材後記

授業を終えた放課後、瀬ヶ崎小学校の教室に集まった子どもたちと桐山先生。3月に小学校を卒業してから新型コロナウイルスの影響による外出自粛期間を経て久々に集まる顔ぶれに、みんなが自然と安堵の表情を浮かべていました。また、唐辛子の回収にいらしたアマンダリーナ合同会社代表の奥井 奈都美(おくい・なつみ)さんも、子どもたちが持ち寄った立派な唐辛子を見て、今年の金澤八味への期待を高めています。

そして、瀬ヶ崎小学校では金澤八味プロジェクトに続く新たな循環型の取り組みを始めました。今年度は、4年生のみなさんが給食の廃油を使った石鹸づくりに挑戦しています。コロナ禍で手洗いの大切さに気が付いた児童たちが、「自分たちにできることから始めよう」と率先して活動しているといいます。

Circular Yokohamaでは、今後も金澤八味のプロジェクト並びに瀬ヶ崎小学校の活動を追っていきます。

 

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※本記事は、横浜のサーキュラーエコノミー推進メディアプラットフォーム「Circular Yokohama」からの転載記事となります。

ライター紹介

Circular Yokohamaは、横浜のサーキュラーエコノミー推進メディアプラットフォームです。横浜のサーキュラーエコノミーに関する情報発信・プロジェクト創出・ネットワーキングを通じて地域の課題解決、雇用創出、経済活性化を目指しています。

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