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【イベントレポート】YOKOHAMAリビングラボサポートオフィス 事業報告会

 

横浜には、市民や企業、NPO団体、行政、大学など立場を超えた様々な人が集まって協働し、地域課題の解決につながる新たなモノやサービスを生み出すリビングラボがあります。「Living(生活空間)」の「Lab(実験場所)」という名前の通り、市民が主体となったオープンイノベーションの拠点としても注目を集めています。

横浜市内各地のリビングラボの取り組みと連携・支援する、一般社団法人YOKOHAMAリビングラボサポートオフィスによるイベント「YOKOHAMA リビングラボサポートオフィス総会」が2020年7月31日に開催されました。その様子をご紹介します。

イベントの内容

YOKOHAMAリビングラボサポートオフィス(組織体制・事業報告について)

1 YOKOHAMA リビングラボサポートオフィスの活動について

2 新理事のご紹介(横山理事・今村理事・舟山理事)

3 これまでの活動について
・おたがいハマ
・介護デジタルハッカソンin横浜2019
・秋田湯沢関係人口創出事業

4 連携団体のご紹介
・市内各地域のリビングラボのご紹介
・横浜市市民協働推進センター(薄井さん)
・ヨコハマSDGsデザインセンター (麻生さん)

 

1 YOKOHAMAリビングラボサポートオフィスの活動について

YOKOHAMAリビングラボサポートオフィス代表の河原勇輝さんから、はじめに挨拶の言葉をいただきました。
河原さんは建設会社を営み、本業を通して社会貢献するために空き家を活用した事業を営んでいます。

河原さん:リビングラボサポートオフィスでは、横浜市内の各地域で展開しているリビングラボで起こした事業を大きくするためにパートナーシップを組んでいます。各地域で発生する社会課題解決ビジネスに本腰を入れて事業展開するため、各地域のリビングラボの情報共有をし、サポートできる組織にしていきたいと考えています。本日は、昨年度どのような事業を展開したのかを報告し、今後どのような連携をするのかをご紹介します。

 

2 新理事のご紹介

今回は新たに3名の新理事が任命されました。新理事の3名から一言ずつコメントをいただきました。

横山太郞理事

横山さん:本業では訪問診療をしています。人間は肉体的のみならず、精神的、社会的に健康であることが必要なのです。ところが、今の医師は肉体にしか関わっていないことに課題感を感じています。これからの地域社会は医師だけでなく、地域の人とともに人や地域、国を癒していくことが大切だと考えています。楽しく生きるための生活をサポートしたいです。

今村美幸理事

今村美幸さん
主にまちづくりの再開発や団地の再生を行ってきていました。以前、河原さんと井土ヶ谷のアーバンデザインセンターを設立しました。SDGs横浜金澤リビングラボを2年前に立ち上げ、継続的に地域産品作りによる街おこしやアマモなどを肥料に代えるサーキュラーな活動に取り組んでいます。横浜市内のリビングラボが横断的に連携することによって、新たな価値が生み出せるように努めて参りたいです。

舟山大器理事

船山さん(代読):太陽光発電などの再生可能エネルギーを通じ、地球温暖防止に取り組んでいます。横浜が世界の模範となるとなるような再エネや地球温暖化防止の仕組みづくりを皆さんと構築することを抱負として掲げています。地域の皆様のお役にたち力を尽くしたい、次回お会いできるのを楽しみにしています。

3 これまでの活動について

おたがいハマ

2020年5月1日より始まったプラットフォーム、おたがいハマは「新型コロナに向き合う助け合いプラットフォーム」として市民、企業、大学、行政が連携し、共創のプラットフォーム「#おたがいハマ」を立ち上げました。横のつながりを一つに集めることで、つながりの中で新たな動きを作っていくことが大きな狙いです。

このプラットフォームでは、新型コロナに対して、3つのことに参加型で取り組んでいきます。

  • 「伝える」:横浜の市民、企業、大学、行政などによる取り組みを集め、社会に対して広く発信する。
  • 「つながる」:横浜市内はもとより、日本各地や世界中のあらゆる人たちの取り組みとつながる。
  • 「変える」:価値観を転換し、おたがいの、働く、学ぶ、暮らすを 変えていくためのアイディア・アクションを生み出す。

また、具体的にページの中では4つのコンテンツを置いています。

  1. 新型コロナウイルスに関する横浜市や神奈川県の最新情報を発信
  2. ハマのお店を応援する「#横浜おうち飯店」
    横浜市内のテイクアウトやデリバリーを提供している飲食店を紹介をしています。
  3. 新しい社会を切り開くWebフォーラム「Circular Yokohama 2020」
    横浜市内各地のリビングラボが新しい学びや働き、暮らしを提案し具体的なアクションの展開を支援します。
  4. 市民の絆と未来をつくるオンラインコミュニティ
    Facebookグループを使ってオンラインコミュニティを運営しています。コミュニティの中で気になったことや困っていることを共有し、コロナ禍のより良い暮らしに向けてアイデアを出し合っています。

最後に、平日お昼12時15分から30分間のトーク&セミナーとしてお互いハマトークを実施しています。アーカイブでもご覧いただけます。また、アンケートを集めているページがあるので、困っていることを書いていただければ、解決策の紹介や、今後のことに役立てていきたいと考えています。

 

介護デジタルハッカソンin横浜2019

理事の穂坂光紀さんより、活動の報告をしていただきました。介護デジタルハッカソンは、サーキュラーエコノミープラスの4つの軸の一つであるヘルスプロモーションに特化して、若者のアイデアでICTを活用して介護分野の課題解決を実現していく事業・サービスを考えていく取り組みです。

穂坂さん:人口の減少や高齢化が深刻化しているの中、特に介護に特化して、横浜にある複数の大学や専門学校の学生に協力していただき、学生たちがそれぞれの領域においてお互いのアイデアを出し合いながら、これからの人口減少、高齢化社会における、介護問題の解決に役立つサービスのアイデア出しをしました。そして、今回の最優秀賞はAIを活用したマスコット型の支援ツール「Stand By You」というサービスでした。

介護デジタルハッカソンでは、様々な専門学校の学生が混ざり合って意見交換することで、学生自身が学び、成長できる場になる点です。また、この取り組みはアイデア発表会で終わるのではなく、企業や横浜市協力の元、最優秀賞に選ばれたサービスは実用化に向けて進めている点が大きな特徴となっています。実際に、前回のハッカソンでの最優秀賞のバリアフリー化を推進しスムーズに移動できるアプリケーションサービス「Rackled」は、来年には利用開始できる段階に至っています。

穂坂さん:今後も学生たちのアイデアが社会にいきてくる取り組みを全面的にサポートしたいと考えています。この取り組みを通じて学生たちの学びの場を提供するのと同時に、社会人として地域や社会に貢献できる若手の人材育成につながる場にできるよう、取り組んで参ります。

秋田湯沢関係人口創出事業

理事の河原さんより、横浜市と秋田県湯沢市とコラボレーションして関係人口を作りながら課題解決をしていく、秋田湯沢関係人口創出事業についてご説明いただきました。

河原さん:実際にフィールドワークで湯沢市に出向き、地域の課題を聞きました。広く、温泉も湧いている地域なのですが、雪かきが大変で家を維持していくことが困難なため、空き家が多いことが地域課題の一つでした。
この課題を解決すべく、空き家を借りるなどの取り組みを通して関係人口を構築しています。双方とのやりとりはリビングラボサポートオフィスを通じて行なっています。また、現在、湯沢市のリビングラボサポートオフィスを作っており、双方のリビングラボの取り組みで都市を超えた活動をし続けたいと考えています。

4 連携団体のご紹介

ここからは、各地域のリビングラボのご紹介をします。

とつかリビングラボ(川口大治さん)

活動は、地域課題の解決を考えるフューチャーセッションからスタートし、NPO法人こまちぷらすの取り組みを起点として始まりました。戸塚区は人口28万人の都市ですが、高齢化が進んでおり、日本の縮図になっているような状況。多様な主体が集まる「とつか未来会議」を2回開催してきました。

川口大治さん:2020年は11月6日に横浜市庁舎で、横浜青年会議所と共にワールドリビングラボを開催し、その翌日には京セラで東大教授で学識研究会、そして3日目の最終日にはとつか未来会議の開催を予定しています。また、今回は来て聞くだけでなく、自らが発信する機会を設けています。

自分で考えていることを発信し、翌日から行動をしていき、一人一人の行動が変わることで街を変えると考えています。多くの企業、団体、学校などと連携して取り組んでいきたいと考えています。

都築リビングラボ(東京都市大学・小池星多さん)

3年前にスタートした都筑リビングラボは、精神的障害の方や学校、行政、ものづくりの中小企業、そしてNPOなどのステークホルダーと共に地域の精神障害の方々の新しい働き方を模索するコミュニティを作っています。

小池さん:ワークショップなどを実施することでお互いを知り、フラットな関係性作りに勤めています。

横浜市市民協働推進センター(薄井智洋さん)

このイベントが行われているスペースは横浜市市民協働推進センターの会議室です。この場所はイベントを協働推進する時に開催できるスペースとなっています。

薄井さん:ここはプロジェクトをつなぎ合わせ、実現するためにみなさんを後押しする施設です。コロナ禍における課題とその課題を解決する工夫にも我々は注目しています。また、新市庁舎の1階というロケーションで、様々な業種の方と連携してプロジェクトが生み出せる場となっています。今年の6月にできたばかりですが、ぜひ気軽に立ち寄ってください。

ヨコハマSDGsデザインセンター (麻生智嗣さん)

ヨコハマSDGsデザインセンターは、横浜市の温暖化対策統括本部と民間の事業者が半官半民で立ち上げた組織です。

麻生さん:横浜市内の事業者や市民、教育関係の方々の持っているシーズとニーズをマッチさせてSDGsの達成に向けた取り組みをデザインする役割を担っています。河原さんには地域のコーディネーターとして取り組んでもらい、今後様々な取り組みを進めていきたいと考えています。具体的な取り組みとしては、高齢化率の高い旭区の若葉台で、移動手段の確保のために、企業と連携してオンデマンドバスの運行や、プラスチックの代わりに木のストローを普及するなどの取り組みをしています。今後もリビングラボと様々な取り組みを積極的に行っていきたいと思います。

神奈川大学(飯塚重善さん)

人間中心設計(Human Centered Design)の専門家という立場でリビングラボの活動に関わりはじめた飯塚さんです。

 

飯塚さん:各地のリビングラボのメソッド化して活動を横展開しやすいようにアウトプットしたいと考えています。今後各地のリビングラボに顔を出させていただきますので、よろしくお願いします。

NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボ(杉浦裕樹さん)

2020年5月1日に横浜市、YOKOHAMAリビングサポートオフィスと横浜コミュニティデザイン・ラボで3者協定を結びました。協定を結び、現在は3者連携により、#おたがいハマトークなどの情報発信や、セミナーなどの学びの場づうり、団体同士の連携のきっかけづくり、そしていろんな資産を結びつける活動に取り組んでいます。

杉浦さん:コロナ禍で自分たちが住み・暮らす「地域」に関心が高まっています。コロナ感染拡大後、特にICT活用のニーズが高まっています。そこで「ICTお助け隊」というプロジェクトを9月から立ち上げる予定です。「困ったときはお互い様、横浜で」を掲げる #おたがいハマ として、情報コミュニケーションに知見を持つ人と必要な人をつなぎあう活動を広げていきたいと考えています。#おたがいハマでは、寿町の「ことぶき協働スペース」を寄付物資の集積拠点として、福祉や医療の関係者などが必要とする防護服やマスク、フェイスシールド等を届ける活動もしています。

横浜コミュニティデザイン・ラボの事務所がある関内では、関内リビングラボのち上げに向けた活動も始まりました。本格的な活動に向けて、各所と連携をしながらつながりを広げていきたいと考えています。

 

レポート後記

横浜のリビングラボを中心としたプロジェクトは様々な企業や団体とともに、学生や地域の人を巻き込みながら地域課題や社会課題解決に向けて取り組む姿がとても特徴的だと感じました。今後も横浜内外のより多くの民間や行政の関係者を巻き込み、横浜の地域をより活発な活動が増えていくに違いありません。今年の活動にも注目です。

【関連リンク】YOKOHAMAリビングラボサポートオフィス
【関連リンク】新型コロナに向き合うたすけあいプラットフォーム #おたがいハマ
【関連リンク】LOCAL GOOD YOKOHAMA
【関連リンク】NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボ
【関連リンク】ヨコハマSDGsデザインセンター
【関連リンク】横浜市市民協働推進センター

*この記事はCircular Yokohamaの記事を転載しています。

ライター紹介

Circular Yokohamaは、横浜のサーキュラーエコノミー推進メディアプラットフォームです。横浜のサーキュラーエコノミーに関する情報発信・プロジェクト創出・ネットワーキングを通じて地域の課題解決、雇用創出、経済活性化を目指しています。

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