ローカルグッドニュース

サステナブル・ブランド国際会議2020横浜トラック リビングラボが実現するサーキュラーエコノミーplus

サステナブル・ブランド国際会議2020横浜「横浜トラック」

サステナビリティ(持続可能性)をとりまく世界的なビジネスの潮流を学び、ビジネスにどのように活用し、持続可能な社会をつくっていくのかを考えるサステナブル・ブランド国際会議2020横浜が、2月19日・20日にパシフィコ横浜で開催されました。

20日の午後には、「横浜トラック」として「LOCAL GOOD YOKOHAMA-リビングラボが実現するサーキュラーエコノミーplus」と題したセッションが設けられ、「サーキュラーエコノミ―plus(人を中心とした循環型経済)」と「横浜型リビングラボ(市民参加の共創活動)」の考え方と取組の概略について説明すると共に、特に「パラレルキャリア」にも焦点を当て、仮に困難を抱えていても、自分の適性や能力に応じて、生き生きと学び、働くことのできる社会について議論しました。

サーキュラー・エコノミーplusの概念図

ファシリテーターは、ヨコハマ経済新聞の杉浦裕樹編集長と、横浜市政策局共創推進課の関口昌幸さん、パネリストは、井土ヶ谷区で太陽光発電やリフォームを手掛ける「太陽住建」の河原勇輝さん、旭区で子育て中の女性と社会を結ぶ活動をしている「Woo-By.Style」の野村美由紀さん、「都筑リビングラボ」の鈴木仁さんの3人が務めました。

サーキュラーエコノミーplusと横浜型リビングラボについての説明する関口さん。「TOKYOから自立した社会・経済圏の確立のために、サーキュラーなエコノミーを作る」

誰一人取り残されることなく、生き生きと働き稼ぐ社会を考える

ディスカッションのテーマは「誰一人取り残されることなく、生き生きと働き稼ぐ社会」を考えることです。まずパネリストから3カ所のリビングラボの事例が紹介されました。

建設会社「太陽住建」の社長でありながら、横浜全体のリビングラボを支える「YOKOHAMAリビングラボサポートオフィス」の代表で、井土ヶ谷のリビングラボを運営する河原さんは、本業と一体した社会貢献を掲げ、街と企業の協力でのまちづくりを進めています。

エネルギー事業と空き屋活用プロジェクトなどを紹介

旭区に住み、勤め、子育てをする野村さんは、「緑園リビングラボ」を運営し、女性の活躍の場を作っています。ママフェスなど母親同士の交流の場を作るほか、学びの場や、学んだ後にそれを使う場を作ることにも重点を置いています。

女性事業の活動支援しており、フェリス女学院大学の先生や学生など、近隣のさまざまな女性が関わっています

街の中で学び働くことを考える時に、子育てをしながらの社会参加は時間的にも難しいです。業務を細分化し、チームで働く仕組みなど、自らの会社でも独自の取り組みを実践しています。

「同じ業務1課の3人が、同じIDを使っていれば、3人のうち誰かが休んでも客先からは業務1課がいるように見えます」

都築リビングラボでは、社会の中で障害者が働き、働きに見合った対価を得る仕組みを作ることを目指しています。東京都市大の研究室の協力などを得て、モノ作り企業の廃材の活用を通じて、生きづらさを抱える自分たちの生き方を重ね合わせながら、社会参加をする取り組みを紹介しました。

都築リビングラボでは、自身も発達障害を抱えた当事者である鈴木さんが活躍中です

都築リビングラボと手をとって仕事をしているスリーハイの男澤社長も登壇しました

多様なメンバーがフラットな関係で関わりあうことで、お互いの強みが生かされ、地域の働き手として活躍することが実現できました。

大学が果たす役割、次世代を担う若者の視点

こうした取り組みの中で、大学が果たす役割について、フェリス女学院大学の情報センター専任講師の内田奈津子さんが発言しました。少し前までは、オープンデータを使って地域のまちづくりの課題解決に取り組んでいたのですが、最近はプログラミングを教えています。プログラミングを書くために必要な、テーマを決め、分担し、作りあげ、バグを直すというプログラミングの流れは、社会に出て役に立つのだそうです。知識だけをいれるのではなく、社会への接続を考えながら、多様性が考えられるような教育をしたいと話します。

次世代を担う若者の視点から、「緑園リビングラボ」に関わるフェリス女学院の学生と、「都築リビングラボ」都市大学生の学生もテーブルスピーチをしました。

ディスカッションに参加した学生たち

「役割分担をしてひとりではできないものをつくりあげる」「大学がプラットフォームになり、学生だけでなく社会の学びの場になる」「緑園の魅力を緑園の外の社会にも発信したい」「スキルが身につく活動を続けたい」などの発言がでました。

野村さんからは、これからの働き方や稼ぎ方を考える「コレカセ」、どうやって稼いで生きていくかを実践する「カセジョ(稼ぐ女性)」という造語が提案されました。

本気で課題解決、対話をしながら、アクションと情報発信を続けたい

ディスカッションを振り返って、ヨコハマ経済新聞の杉浦編集長からは、情報発信のメディアであり、クラウドファンディングやスキルマッチングの機能を持つ「ローカルグッドヨコハマ」のプラットフォームの紹介がありました。

「オンラインとオフライン、ネットとリアルをつなぐ課題解決のプラットフォームです。経営をしていくことと、いい地域、いい世の中とを両立させていくことがポイント」

オンラインマガジン「IDEAS FOR GOOD」を運営する「ハーチ」(東京都渋谷区)の代表で「YOKOHAMAリビングラボサポートオフィス」の理事の加藤佑さんは「アクションとコミュニケーションが大切。アクションは地域課題を解決する行動。その行動がお金や人的資源などのリターンとなって帰ってくるには伝えることが必要。ひとりひとりが自分らしさを生かして、多様な価値を発見しながら活動にとりくみたい。サーキュラーエコノミーはそういう優しい概念だと思う」とコメントしました。

横浜市の関口さんは「ボランティアだけでは持続ではない。ビジネスにしたい。でも豊かさは独占ではなく、みんなでシェアすることで循環型の経済を作っていきたい。支援するのではなく、市も一緒に中に入ってやっていきたい」と場を結びました。

「サーキュラーエコノミーplus」を軸にしながら、さまざまな立場の人が関わり、こうだったらいいなということをまとめて形にしていく、価値を作っていく。横浜型リビングラボの活動は、続いていきます。

ライター紹介

横浜在住、東京総合写真専門学校出身、写真作家。 著書に「伝説の大道芸人 ギリヤーク尼ヶ崎への手紙」(日進堂)、共著に「ギリヤーク尼ヶ崎 鬼の踊りから祈りの踊りへ」(北海道新聞社)。 手回しオルガンの演奏家でもある。

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