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YOKOHAMAリビングラボ・サポートオフィスが決起総会 「サーキュラーエコノミーplus」掲げ活動開始

YOKOHAMAリビングラボサポートオフィスが動きだす

2019年12月26日、みなとみらいイノベーションフューチャーセンター(西区みなとみらい2)で「YOKOHAMAリビングラボサポートオフィス決起総会」が開催された。

「リビングラボ」とは、住民や企業、自治体、大学など様々な主体が協働し、暮らしを豊かにするためのモノやサービスを生み出し、より良いものにしていくための活動。新たな地域活動のあり方、ビジネスの視点をもった地域への関わりの在り方として、最近注目されている。現在、横浜市内では、10地区以上でエリアの名を冠したリビングラボの取組が、介護や教育など様々なテーマのもと、活動している。

この日、集まったのは、各区のリビングラボの関係者や幼稚園・小学校の先生など約30名

会の冒頭では、一般社団法人YOKOHAMAリビングラボサポートオフィス代表の河原勇輝さんが挨拶。河原さんは井土ヶ谷区で太陽住建というリフォーム会社を営む中、井土ヶ谷リビングラボの取り組みをしている。地域密着企業として、井土ヶ谷の人たちと地域のことをもっと知る「井土ガヤ会議」を開催していたが、2017年9月の5回目の会議以降、地域の課題を地域で考えていく「井土ヶ谷リビングラボ」としての活動をスタート。他区でのリビングラボの活動もサポートできればと、2018年5月にサポートオフィスを登記した。

YOKOHAMAリビングラボサポートオフィスの会員定義

サポートオフィスの理事には子育て中の女性と社会を結ぶ活動をしている「Woo-By.Style」(旭区)代表の野村美由紀さんと、横浜出身でコンテンツ制作会社「ハーチ」(東京都渋谷区)代表の加藤佑さんなども加わり、このたび対外的な決起を迎えた。

左から、野村さん、河原さん、加藤さん

 

「リビングラボサポートオフィス」がめざす4つのコト

「リビングラボ」は活動の手法だが、何を目指して活動をするのか。
地域で活動するにあたり「人を中心とした循環型社会を目指したい」と河原さんは言う。「サーキュラーエコノミー」は「循環型経済」の意味。これまで捨てられていたものを資源と捉えて、無駄のないようにする経済循環の仕組みだ。サポートオフィスでは、環境中心の循環と捉えられることの多い「サーキュラーエコノミ―」の考え方にプラスして、「ひと」のエンパワーメント(成長や能力開発など)と持続可能性にも着目し、「サーキュラーエコノミーplus」という社会経済のビジョンを構想した。

「サーキュラーエコノミーplus」の4領域を図示

「サステナブルデベロップメント」「パラレルキャリア」「ヘルスプロモーション」「ローカル・フォー・ローカル」聞きなれない言葉が並ぶが、参加者たちそれぞれの実践的な取り組みをみてみよう。

 

4つの領域での、多様なプロジェクト展開

この日は、いくつかの事例紹介があった。
空き家など生かされていない空間を有効活用して持続可能な「まち」を作る「サステナブルデベロップメント」については、代表の河原さんが取り組む空き家活用事例を紹介。

会社の仕事以外の活動もする「パラレルキャリア」は、全国各地を「旅するように働く」ことを実践しているパソナグループの加藤遼さんが「横浜と他地域を連携して活動したい」と述べた。

地域のものを地域に返す「ローカル・フォー・ローカル」では、廃材再生についての事例が多く語られた。

都筑リビングラボでの、東京都市大学の小池情報デザイン研究室と協力した廃材活用事例を紹介したのは鈴木仁さん。

「廃材をただ再利用でなく、デザインの力でかっこよく生まれ変わらせる。それらを通じて生き辛さを抱える人が、社会で働くことを実現している。」

サステナブル・ブランド国際会議2020横浜プロデューサーの山岡仁美さんからは同じくペットボトルをTシャツにする事例の紹介。

「リビングラボ」と定義された団体ではないが、学校や幼稚園からの発言もあった。
横浜市立市場小学校の山本功次郎主幹教諭からはペットボトルをエコバッグに再生した取り組んだ話。

「子どもたち自身から、啓蒙ポスターより、使えるものを作りたいと意見が出て作りました」

くらき永田保育園では、保育士とモノづくりの人とでコラボレーションし、廃材などを活かし新しいおもちゃを開発、さらに社会に広める活動をしている、と語ったのは鈴木八朗園長。

「作ったものは、自分たちで使うだけでなく、毎年東京メーカーフェアにも出しています」

地域電力を通じた関係人口の創出という別の視点から言及したのは、「ヨコハマのでんき」の舟山大器室長。

「他地域からの地熱の自然エネルギーを横浜に運んで、横浜ゼロカーボンの実現の一助となりたい」

 

取り組みをうけて、まとめとこれから

これらの様々な取り組みを総括して、横浜市政策局共創推進室の関口昌幸さんは、「今日集まった30人のうしろには、さらに30人の各地域の人がいる、1000人の地域の人たちの動き」と語り、行政が民間とともにやっていくために、行政の組織区分を縦断する策を考えたいと述べた。

代表の河原さんは「自分の地域の抱える課題をもってくるのがリビングラボ。机の上でデータをみるだけではなく、地域の血の通った課題を、事業や市民活動につなげたい。サポートオフィスでは、各ラボのノウハウも共有したい」とまとめた。

今回の会場提供に協力し、横浜市と連携し「共創ラボ」としてリビングラボへの入り口となるワークショップなどを開催する、富士通エフサスみなとみらい Innovation & Future Centerの岸本伴恵さんは「たとえばペットボトルで何か作った、その先にどんな未来あるのか。それを考えたい。それがあればたとえくじけた時にも立ち上がれる。事例の紹介とともに、対話の場を提供していきたい。」と結んだ。

会場の窓からはみなとみらいが一望

 

次回開催は1月13日

そんな「リビングラボサポートオフィス」の決起総会だった。次回は「サーキュラーエコノミー」に焦点を当てた「かながわサーキュラーエコノミーフォーラム2020 」が1月13日に開催される。

開催概要は以下の通り。
日時:2020 年 1 月 13 日(月)14時30分~17時30分
場所:富士通エフサス みなとみらい Innovation & Future Center
主催:一般社団法人YOKOHAMA リビングラボサポートオフィス

詳細は、YOKOHAMAリビングラボサポートオフィスのWEBサイトから
https://livinglabsupportoffice.yokohama/

ライター紹介

LOCAL GOOD YOKOHAMAは、まちでコトをつくりたい、人とつながりたい、課題を解決したいと考えている市民のみなさんのICTプラットフォームコミュニティ。みんなが情報やコミュニケーションでつながり、人が集まることで何かがはじまる場をつくり、コミュニティや活動がこれからも続くキッカケをデザインします。まちの課題や問いに対して「自分ごと」として新たな一歩を踏み出し、まちの未来をより良くするアクションを 「LOCAL GOOD」と名づけました。 さまざまな地域課題に向き合う「ローカルグッドプレイヤー」とともに、共に考え、語り、取材をすることは、新たな視点や経験を得る貴重な体験です。取組を知り、現場でつながることは、おたがいの働く、学ぶ、暮らすを変えてゆくためのアイデアやアクションを生むためのイノベーションのヒントになります。地域のプレイヤーが悩み、チャレンジする現場に足を運び、声に耳を傾け、みなさんの得意や関心に併せた役割を見つけてください。自らを知る、変えるチャンスを提供します。誰もが参加して応援できるローカルグッドサポーターが、はじまっています。 https://yokohama.localgood.jp/about/ LOCAL GOOD YOKOHAMA 編集部へのお問い合わせやご意見、取材希望や情報提供はこちらにお願いいたします。 localgood@yokohamalab.jp 

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