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自立援助ホームを知っていますか?(3)若者を支える社会への変革をめざして

~若者を支える社会への変革をめざして~

全国自立援助ホーム協議会 神奈川横浜大会が10月8・9日横浜パシフィコ横浜で開催される。大会目前の大会実行委員長である、社会福祉法人白十字臨海学校 自立援助ホーム『湘南つばさの家』代表 前川礼彦さんに取材した。

 

大宮:自立援助ホームを知らない方も居ますので、改めて教えていただけますか。

前川:先ず概略をお話しします。今から約60年前に「児童養護施設を出たら、僕らには戻る場所がない。」何らかの事情で家庭で暮らせない青年達に「帰る家を作ろう」とボランタリーの活動で始まりました。そして、創始者達は、社会には親に頼れず若くして自立していかねばならない青年達が多くいる事を地道に社会に訴え続け、徐々に制度が作られてきました。

大宮:始まりは個人の活動だったのですね。

前川:近年の状況は、児童虐待相談受付件数は増加の一途を辿り、記者発表によると平成 30年度全国の児童相談所に寄せられた件数は約16万件に達し、前年度の2万6千件増となっています。神奈川県内全体においても18,556件と過去最大になりました。児童虐待は実父母が圧倒的に多く未就学児に対してが多いですが、しかし義務教育を修了した青少年にも起きているのです。これまで児童養護施設にも繋がらず、児童相談所にも発見されず、長らく虐待を耐え忍んで、やっと自立援助ホームに辿りつく青年が増えている事も見逃せません。

大宮:前回の取材でも、虐待を受けた青少年の入居が多いとお聞きしました。その青少年達の生活は、どうのような状況なのでしょうか?

前川:全国自立援助ホーム協議会での調査によれば、全国の自立援助ホーム利用者のうち、何らかの障害や医療ケアが必要なケースは全体の5割近くに及びます。その反面、「普通に学生生活を送りたい」と再チャレンジし、定時制、通信制高校への入学、大学短大専門学校への高等教育進学を希望する青年も増えて来ました。一般社会の家庭の子ども達の7割強が大学や専門学校へ進学する時代に、施設で暮らす子ども達の高等教育進学率はやっと3割を超えてきましたが、依然として大きな開きがあります。

大宮:家庭の支援がない青少年の自立や進学は、本当に難しいのですね。

前川:そうです。「若者の自立支援」というテーマは、何も福祉に限った特別な話ではないはずです。2022年度に民法改正で成人年齢が20歳から18歳に引き下げられますが、近年若者が自立していく年齢は20代後半とも言われており、法制度と若者の実態とのミスマッチが容易に予測できます。現在は未だ「青年期」に特化した支援施策や制度は殆どなく、未だ自立援助ホームなど民間の熱意によって支えられているのが現状なのです。

 

自立援助ホームでは各施設6人が上限となっており、共同で生活を行っている。

大宮:近年の思春期はいつまでか?と同質の議論にも思えますが、自立援助ホームの問題は、本来日本全体の共通問題でもあるわけですね。

前川:おしゃる通りだと思います。我が国における空前の少子高齢化社会において、「社会が丁寧に若者を育てる文化」を作り上げ、健全な納税者、心豊かな人財を我々が育てていかなければ、この国の未来は明るくならないだろうと考えています。

前川:我が『湘南つばさの家』は、平成18年度に開設した男子6名定員のホームです。私たち夫婦が共に住込み、スタッフと共に青年達の自立支援を行い、これまで累計36人の青年達と暮らしてきました。法制度では足らない部分は「支援者」を募り、食料品や経済的支援を得て運営してきました。ホームの青年が「自分達の為にこうして応援してくれる人がいるなんて、世の中まだ捨てたものじゃないね」と漏らした一言に、未来の希望を感じました。

 


 自立援助ホームの多くは一般住宅を借り受け行っているが、全員に個室を確保できる物件は多くないのが現状だ。
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取材を通して、自立援助ホームの利用する青少年の様々な課題は、現代社会の縮図なのだと分かった。

また、前川さんが「支援者を募り世の中を少しでもより良くしていくのは我々大人の使命です。」と、熱く語った言葉に感銘を受けた。
この問題を、当事者やかかわる者として、私自身また社会の大人がそう感じて行動できたなら、今よりも少し幸せな社会に近づけるかもしれない。自分だけでない「社会的養育」「社会的養護」という意識が、広がることを期待したい。

 

ライター紹介

「LOCAL GOOD YOKOHAMA」は、 サービス、 モノ、 カネ、 ヒト、 情報の循環をつくっていくことを目指し、インターネット上の場と、インターネットを超えた地域の現場両面から、地域をよくする活動「地域のGOOD=ステキないいコト」に市民、企業が参加するきっかけをつくっていきます。活動に加わり、メンバーとして地域に関わっていくローカルグッドサポーター、プロボノを募集しています。

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