ローカルグッドプレイヤー

地域循環型社会「リサイクルデザインタウン」を目指して

横浜市資源リサイクル事業協同組合(通称リサイクルデザイン)は、1992年に横浜市内のリサイクル事業社75社が集まり設立されました。現在は128社が加盟し中期CSR戦略ビジョン「りくみビジョン2020」で定めた地域循環型社会「リサイクルデザインタウン」の実現を目指して、環境絵日記、月刊リサイクルデザインの発行、出前講座などの情報発信事業を行っています。今回は、リサイクルデザイン副理事長の栗原清剛さん、企画室室長の戸川孝則さんにお話しを伺いました。

横浜市資源リサイクル事業協同組合のCSRとは

-横浜市資源リサイクル事業協同組合とはどのような組織なのでしょうか

(中)リサイクルデザイン副理事長の栗原清剛さん、(左)企画室室長の戸川孝則さん、(右)企画室副室長の島川健一さん

栗原:通称リサイクルデザインと呼ばれる横浜市資源リサイクル事業協同組合は、1992年にリサイクル事業社75社が集まって設立しました。私の勤める会社も協同組合に加盟するリサイクル事業社の一つです。ここでは、副理事を務めさせていただいています。加盟するリサイクル事業社は、金属、古紙、びんなどの回収を行う事業者で、規模は個人事業主の方から100人規模、海外規模で事業を行っている企業まで様々です。

戸川:私は15年前にプロパー社員としてリサイクルデザインに入社し、企画室で室長を担当しています。

-協同組合として横浜型地域貢献企業認定を受けられていますが、どういった経緯で認定を受けられたのですか

戸川:協同組合の設立から10年ほど経った頃、社会も変わってきましたし、設立当初のビジョンを見直す必要が出てきました。そこで、もう一度ビジョンを策定しようということになり、2009年に「りくみビジョン2020」という中期CSR戦略ビジョンを策定しました。内容は、10年後の2020年に向けて、リサイクル業界が社会から必要とされる地域循環型社会を「リサイクルデザインタウン」と名付け、市民・行政・業界が三位一体になって社会を創っていくというものでした。リサイクル業界が必要とされるには、社会的企業になる必要があるし、静脈産業は公共事業にならないといけない。そういった重要なキーワードの中にCSRと言う言葉が出てきました。この中長期ビジョンを作ったときに、横浜市立大学の景山摩子弥教授からいろいろなお話しを聞く中で、新しく設立される「横浜型地域貢献企業認定」の内容が合致しそうだということで、2008年3月に認定を受けました。

栗原:設立当初から「リサイクルデザイン」という通称を使っていますので、循環型社会を構築しようという想いは当初からありました。社会全体のリサイクル量も増えてきましたし、行政から降りてくる仕事をするだけでなく、これからは業界が循環型社会をデザインしていかないといけないという考えから「りくみビジョン2020」を策定しています。

リサイクルデザインが実現するCSRとは

-資源回収やリサイクルデザインの考え方を市民の方々にどのように伝えているのですか

月刊リサイクルデザイン

月刊リサイクルデザイン

戸川:市民の方々は、リサイクル業界にとっては製品の生産者だと考えられますので、資源の分別方法を正しく理解してもらうための情報発信はとても重要だと考えています。主な情報発信として、「月刊リサイクルデザイン」の配布、小学校や自治会への出前講座、「環境絵日記」などを行っています。

-「環境絵日記」は、どのような取り組みですか

戸川:資源を出す担い手である家庭の中でリサイクルについて考えるきっかけを作りたいと思い「環境絵日記」の取り組みを企画しました。環境絵日記は、子どもたちが家庭で話し合ったことや自分で考えた内容を絵(視覚的表現)と文章を組み合わせて自由に表現する絵日記です。2000年に始めて、1年目に1,152人、10年目に10,316人、15年目の今年は22,306人の市内の子どもたちが参加してくれました。この数字は、市内の公立小学校の生徒数の12%にあたりますので、10人に1人が参加してくれている計算になります。2012年からは内閣府の進める環境未来都市のモデル都市にエントリーしていている横浜市と協同で「環境未来都市・環境絵日記展」として開催しています。今では、環境だけでなく、自然、エネルギー、少子高齢化も含めて、家族で考える環境未来都市を描いてもらっています。

環境絵日記ホームページには過去の応募作品が展示されている

環境絵日記ホームページには過去の応募作品が展示されている

-環境絵日記を描いてくれている子どもたちの反応はどうですか

栗原:環境絵日記はとても学習効果が高いと感じています。去年、過去の受賞者を集めた同窓会を行いました。話しを聞くと、絵日記をかいてくれた子ども達は、中学・高校・大学と進学した先で、環境委員などを引き受けたりしてくれています。3年目に大賞をとった子は、当時イルカのお腹の中にビニールが入っていることについて環境絵日記を描いてくれましたが、現在は畜産工学を大学で勉強しているそうです。

今後のCSR活動について

-今後、環境絵日記はもっと発展して行く可能性があるのでしょうか

戸川:環境未来都市とタイアップしてから、自分たちの願いというより街づくりの提案になってきています。行政が対応してもいいし、建築会社さんが街づくりにいかしてもいい、そんな街づくりのアイデアが出てきています。そこで、絵日記の中で実現可能なことは、実現していくような取り組みを始めています。環境絵日記は、子どもたちが社会参加できる仕組みです。誰かが作ってくれた物を楽しむのではなく、自分たちが街づくりに参加することは、素晴らしいことだと感じています。

栗原:子どもたちからの提案をもらって、自分たちの思考回路も広がった段階で、市内の企業や行政の方に話せるというのはこのリサイクルデザインというところを体現していると思っています。行政と市民の架け橋になる目標に向かって着実に進んでいると思っています。

-2020年のビジョンに向けた取り組みを一つ一つ実現していますね

戸川:ビジョンの実現に向けて、協同組合はISO14001(環境マネジメントシステム)を導入し、それにそったマネジメントを行っています。金属、瓶、古紙などの企業が組織する委員会があり、それぞれの委員会が行う事業は四半期に1回振り返りを行ってコントロールしています。きちんとマネジメントを行うことで一つ一つ実現していっています。このISOマネジメントシステムを取り入れることは、組合の各企業の経営にも活かしてもらえると考えています。

<企業プロフィール>

リサイクルデザイン:横浜市資源リサイクル事業協同組合
理事長 髙田哲二さん
住所 神奈川県横浜市神奈川区山内町13番地
業種 リサイクル事業協会
URL http://www.recycledesign.or.jp/

ライター紹介

LOCAL GOOD YOKOHAMAは、まちでコトをつくりたい、人とつながりたい、課題を解決したいと考えている市民のみなさんのICTプラットフォームコミュニティ。みんなが情報やコミュニケーションでつながり、人が集まることで何かがはじまる場をつくり、コミュニティや活動がこれからも続くキッカケをデザインします。まちの課題や問いに対して「自分ごと」として新たな一歩を踏み出し、まちの未来をより良くするアクションを 「LOCAL GOOD」と名づけました。 さまざまな地域課題に向き合う「ローカルグッドプレイヤー」とともに、共に考え、語り、取材をすることは、新たな視点や経験を得る貴重な体験です。取組を知り、現場でつながることは、おたがいの働く、学ぶ、暮らすを変えてゆくためのアイデアやアクションを生むためのイノベーションのヒントになります。地域のプレイヤーが悩み、チャレンジする現場に足を運び、声に耳を傾け、みなさんの得意や関心に併せた役割を見つけてください。自らを知る、変えるチャンスを提供します。誰もが参加して応援できるローカルグッドサポーターが、はじまっています。 https://yokohama.localgood.jp/about/ LOCAL GOOD YOKOHAMA 編集部へのお問い合わせやご意見、取材希望や情報提供はこちらにお願いいたします。 localgood@yokohamalab.jp 

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